2014年10月17日号

ヒスタミンの不思議


 この季節毎年のようにAさんが、早朝の鼻水、くしゃみ、それに続く鼻づまりを訴えて来院した。耳鼻科でアレルギー性鼻炎が疑われ、原因となる花粉やハウスダストなどの検査をしたが、原因物質は見つからない。実は私も同じような症状に悩まされている。症状は、温かい室内から冷たい外気に触れた時に出現することから、「寒冷アレルギー」と考えて納得していた。しかし、アレルギーは原因物質に接触して起こる過剰な免疫反応なのだ。


 寒冷刺激という非物質的なものがアレルギーを起こすとは考えられない。だが、アレルギー反応の治療に使う抗ヒスタミン剤が有効だ。アレルギー性鼻炎は原因物質に接触して、IgEという抗体が作られ、粘膜にある肥満細胞に結合してヒスタミンを放出する。これが鼻水やくしゃみ、鼻づまりの原因となっている。


 ヒスタミンという物質は、いろいろな組織で薬理作用を発揮していることが解っている。その作用は、アレルギー性鼻炎の症状の原因となるものもあるが、胃粘膜では胃酸分泌に関与して空腹感の出現に関係がある。神経系では痛みや寒冷刺激、音や光などの刺激に反応して分泌され、覚醒状態の維持や記憶学習能に関与している。このようにヒスタミンの作用は多岐に及ぶが、それは細胞の表面にあってヒスタミンと結合する受容体と呼ばれるタンパク質の違いによることが知られている。現在、ヒスタミン受容体は4種類が知られている。


 粘膜下組織には肥満細胞と呼ばれる細胞がある。その膨れた形態が肥満を想起させることから付いた名称だ。この中にヒスタミンが入った顆粒があり、免疫など外からの刺激によってヒスタミンを細胞外に放出することで鼻炎の症状が出現するのだが、神経系でのように寒冷など物理的な刺激でも肥満細胞がヒスタミンを遊離するのが、この時期にAさんや私を悩ます原因かと思っている。


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