2014年10月24日号

透明は角膜のいのち⑦角膜内皮が傷ついたら


 今回は角膜の裏側に整然と隙間なく並んでいる一層の角膜内皮細胞層の話です。この細胞の特徴は再生力がないため障害を受けると重大な機能障害に結びつきます。


 角膜内皮細胞の大切な機能の一つは角膜の厚さを一定に保つことです。角膜上皮細胞層や角膜内皮細胞層から角膜実質を通過する水分量をコントロールして、常に角膜の厚さが変わらないように調節しているのです。この機能が維持されることで角膜は透明性を保つことができ、レンズとしての役割を果たしています。しかし、①緑内障による眼圧の上昇、②ぶどう膜炎による障害、③角膜の外傷、④眼内手術など、さまざまな原因で角膜内皮は障害を受けます。障害を受けた内皮細胞は死滅し脱落するため、その部分に空間が出来てしまいます。細胞脱落の範囲が狭ければ、周囲の細胞が膨れて大きくなり埋め合わせることができます。しかし、広範囲に内皮細胞が傷害されると周囲の内皮細胞の膨張だけでは隙間の修復が困難になり、角膜の厚さを調整する機能が失われるとぶくぶくと膨れ上がり水疱性角膜症(すいほうせいかくまくしょう)になります。そうなると角膜はレンズとして働かなくなります。更に内皮障害が拡大・進行すると角膜実質も混濁して失明状態になります。


 今までの治療法としては角膜移植以外に方法がありませんでした。しかし角膜移植手術は、角膜提供者が少ないことや、高齢の提供者からの角膜は細胞の老化による機能低下が起きやすいなどの問題がありました。最近、京都府立医大眼科木下茂教授らはシャーレで培養した他人の角膜内皮細胞を注射器で移植する方法を世界に先駆けて実施しました。その結果、手術を受けた3人において、術前0・05~0・06の視力が、術後には0・1~0・9まで回復したということです。この画期的な方法により今まで困難であった水疱性角膜症に対する新たな治療法の道が開かれたのです。


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