2014年10月31日号

秋の輝き


今年の秋は“錦秋”の言葉そのままに、赤や黄の紅葉があざやかで、秋空によく映えわたった。いつの間にか朝晩が冷え込むようになって、日中もちょっとすれば寒さを感じる時があるから、事務所のストーブをつけたり消したりしている。10月23日、二十四節気に言う「霜降(そうこう)」を前後して、この付近の土地土地にも暦通りの初霜が降りた…。


 ひと葉落ち、二葉落ち、やがて路上に落ち葉が舞って、いつの間にか道端のナナカマドが赤い実だけの姿になっていた。秋が深くなる晩秋の頃を、「暮(くれ)の秋」とか「暮秋(ぼしゅう)」などとも俳句なんかの世界では表現するそうだけれども、木々の葉が落ちてどうしてもさみしさが募(つの)るそんなときにも、毎年「そろそろかな…」と楽しみにしていることがある。イチョウの葉が濃い緑から明るい黄金色に変わる、輝くような晩秋のほんのいっときの風景だ。


 何十年も前、確か白石の本郷通商店街だったろうか、一杯やった後に外に出たら、月の光に浮かび上がったイチョウの木から、レモン色の扇の葉が降り注ぐような光景に出合った。降るひと葉一葉がさやかな月の光を浴びて、りんりんと音がするように舞い落ちるその光景は、神々しさすら感じられて、あまりのうれしさに一杯機嫌も手伝って、イチョウの葉が舞うその街路で連れと一緒に小躍りしたのを覚えている。またある時は、黄葉(こうよう)したイチョウ並木と路上に敷き詰められた落ち葉が、朝日を浴びてまばゆく光り輝く情景に出会って息をのんだ…。


 「ああ、この世に生きてよかった」と、大げさでもなく思うのは、こんな時だったりする。何を思ってどう生きているのか、自分の今ある姿をじっと見つめてみる…運命と宿命は潔く受け入れよう、あわてず騒がずできることからまた一歩一歩生きていこう…なんて、秋だからだろう、柄にもなくそんな物思いにふけっている…。今年もイチョウ並木が輝いて美しい。本の栞(しおり)にでもしようと思って、落ちているイチョウ葉を2枚だけ拾った。


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