2014年12月05日号

バクチ場の解禁


 北海道に来て間もない頃、喫茶店の深夜営業のスタッフに雇ってもらったことがある。その常連客の間で一時、チンチロリンというバクチというかゲームが流行ったことがあった。茶碗に3つのサイコロを落として、その出目を競うのだが、金を賭けずに遊んでいたから、他愛がなかった。常連客のひとりに近くの寺の坊さんがいて、サイコロをつまんで、おもむろに「ナンミョウホウレンゲキョウ」と唱(とな)えてから、チンチロリンと落とす姿にみんなが笑った…。


 お遊びのうちはいいが、金銭が賭かる“バクチ”になると面倒なことになる。キャバレー勤めをしていた20歳の頃、同僚に誘われて、オイチョカブという花札をしたことがある。教えてもらいながらだったが、いつの間にか金が賭かっていた。熱くなってカモにされたのだろう。夜が明ける頃には8万円ほど負けていた。終わって同僚の態度が変わった。「バクチの金は別だからな」とすごんだ。血走ったその眼は、性格が変わったようだった。欲がからんだ時のその変わり様があまりに浅ましいのに嫌気がさして、次の日までに意地になって金を用意して払ったのを覚えている。


 身の回りに賭け事はいろいろあるけれども、楽しめる人と、欲と金に振り回される人とでは、天と地の差があると教えてくれる人がいた。競馬などで深みにはまり仕事で集金した金を使い込んでクビになった知人が何人かいた。みんな人柄は良かったのに、急に姿が見えなくなって、後で事情を知って驚く…。儲かった話はよく聞くが、現実には賭け事の好きな人が中毒になって、家族ともども不幸になる姿しか見たことがなかった。


 カジノ(賭博場)を公認する統合型リゾート(IR)の整備を促す法案(カジノ解禁法案)が、来年の通常国会に先送りされるそうだ。人を不幸にするバクチ場の解禁が、安倍晋三首相が成長戦略の一つと位置づけた法案だと知った時は、情けないというより悲しくなった。あの坊さんの「ナンミョウホウレンゲキョウ」の声をなぜか思い出した…。


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