2014年12月19日号

“サンタの秘密”


 薪ストーブの細い煙突から、サンタはどうやって入ってくるんだろう…と、幼い頭で考えていた。それでも、クリスマスの朝には、枕元にそっと、菓子を詰めた赤と銀ラメの紙製のブーツとおもちゃなどが置かれていた。商店も何もない山奥に、寄り添うように暮らす貧しい農家の小さな集落。雪の中を遠い町まで行って用意してきたサンタクロースからの贈り物に、何も知らない幼い子は無邪気にはしゃいだ。もう50年以上も前の話…。


 世界の多くの大人たちが共有する、このほんのちょっとした内緒事は、今も行われている。ただただ子供たちが喜ぶのを幸せに思う“大人たちの心”なのかも知れない。それぞれの家々の“サンタの秘密”を、シーッと口に人差し指を当てて、大人たちはただ静かに受け継ぎ守ってきた。…昔も今も、何という素敵な大人たちだろうと思う。


 白い髭のサンタのおじいさんが赤と白の装いでトナカイがひくソリに乗り、宗教の別なんかも簡単に飛び越えて、明治の頃にはもう日本にも姿を見せ、大正時代には少しずつ庶民にも広がりを見せ始めたという。そんな子供を思う人々のあり様が何だかうれしくて、幼い頃のクリスマスの情景はこれまでも何回か書いてきたのだが…。


 今、子供たちが危機的状況にあるという。虐待やネグレクト(育児放棄・育児怠慢)、ついには我が子の殺害までおよぶ悲惨なニュースが、日々途切れることがない。これはともすれば“親のあり方”“家庭の問題”で片付けられてしまいそうになるが、現実には「貧困」に直結すると多くの研究者が指摘している。家庭の問題ではなく政治の問題なのだ。まわりもみんな貧乏で、貧しさの中でも一緒に生きていけた昔と違い、現代は精神面でも経済的にも孤立して生きざるを得ない社会になって、それが「自由」なのだという勘違いすら蔓延(まんえん)している。金がなければ生きていけない世の中の仕組みにいつの間にか変えられて、その仕組みにがんじがらめに束縛されていることに気がつかない。例えば、その象徴ともいえる一つが、多くの非正規労働者を生み出した労働法のあり方なのだろうと思う。懸命に働いても結婚できず、まして子供を育てる余裕がないという若い世代が、いかにあがき苦しんでいることか。そして、身近にいかに多いことか。


 普通に結婚して、普通に子育てできる世の中の仕組み…“サンタの秘密”をずっと受け継いできた素敵な大人たちが、それを実現できないはずはない。きっとそれが一番の贈り物になるはずだから…。


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