2015年01月16日号

恐怖のツルツル路面


 12月20日深夜、おもてに出たスタッフから悲鳴が上がった。道路が滑(すべ)って事務所の玄関先からもう歩けないというのだ。圧雪状態になって凍った路面に雨が降り、通り一面が乳白色に光っている。凍った路面には多少とも慣れているつもりだが、車道も歩道もその“ツルツル度”は想像を超えていて、除雪が間に合わず路面がでこぼこに波打っているものだから、すり足でも歩けないのだった。どこもかしこもそんな状態で逃げ場がなかった。少し足が不自由な散歩人は会社を出たとたんに立ちすくんでしまった。見かねたスタッフが両側から支えてくれて、ほんの十数メートル先の駐車場にとめてある車にたどり着くのに5分近くもかかったのだった。


 自宅のまわりも同じようなツルツルの世界だったから、文字通り“這(ほ)う這(ほ)うの体”で家の中に入った。翌日もツルツル状態は続いて、家人が家のまわりと近所の坂道に砂を撒(ま)きたいと言い出した。とても歩けないというのだ。ホームセンターに行ったらさすがにもう売り切れていて、交差点や坂道に設置してある砂箱を探そうということになった。市民が滑り止め用に、砂箱に入れてある砂袋を自由に持ち出して使えることになっている役所の粋な取り組みだと喜ばれている。近くの5~6ヵ所を回っても砂箱はすでに空っぽだったが、ようやく砂袋が残っているのを見つけて、足りないとは思ったが次の人のことも考えないといけないから、2袋残して3袋ばかりもらい、自宅付近の坂道などに撒いた。子供だましみたいな量だったが、撒かないよりはまだましに思えた。


 数年前から杖が手放せなくなっている。介護用品なども扱っている大麻の寝具店で背丈に合わせてあつらえてもらったのだが、手元のレバーで杖の先から錐(きり)のようなツメがワンタッチで出る仕掛けで、冬道での威力は想像以上だから、「仕込み杖だ」などと言って自慢している。とはいえ、この前のツルツル路面は杖がいくらスグレものでも、まるきり歩けない過酷さだった。


 ほんの少し体が不自由になっただけで、冬道の過酷さが身にしみる。体に不自由さを抱える年寄りなどは出歩くのも命懸けに近いと思う。転んで骨でも折ったらその先がどうなるかわからない。「住宅街にも砂箱があっていいんだろうけど…」と家人が言った。とにかく家と車の中に砂を用意しておかなければ…ということになったのだが、そのおかげで正月が明けて再びツルツル路面になった時には慌てなくても済んだのだった…。


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