2015年02月13日号

美辞麗句のツケ


 「イスラム国」の日本人人質殺害の事件に衝撃を受けている。日本時間の2月1日早朝、殺害されたとみられている後藤健二さんの映像と共に「アベよ、勝ち目のない戦いに参加するというおまえの無謀な決断のために、このナイフはケンジを殺すだけでなく、おまえの国民を場所を問わずに殺りくするだろう。日本にとっての悪夢が始まるのだ。」(共同通信)という脅迫のメッセージが公開され、さらに追い打ちをかけたのだった。安倍晋三首相を名指ししての“無謀な決断”とは何か。1月20日、身代金を要求した際のビデオ声明では「日本国民に告ぐ。おまえたちの政府はイスラム国と戦うのに2億ドル支払うという愚かな決定をした。」(同)と言っている。


 国会質疑では「地道な人材開発、インフラ整備を含め、ISIL(アイシル=イスラム国のことをこう呼ぶことに自民党が申し合わせ、外務省などもこの呼称に統一、英語圏ではISIS=アイシーズとかアイシスと呼ぶという〈散歩人注〉)と闘う周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します。」(1月17日「安倍総理大臣の中東政策スピーチ」〈外務省〉より抜粋)というエジプトでの演説が問題になった。この演説の3日後にイスラエルで行われた安倍首相の記者会見では「2億ドルの支援は、地域で家を無くしたり、避難民となっている人たちを救うため、食料や医療サービスを提供するための人道支援です。正に、避難民の方々にとって、最も必要とされている支援であると考えます。」(内閣広報室の発表)と、“ISILと闘う周辺各国に…”という挑発的とも受け取れる言い方から抑制されたものに大きく変化した。


 2月3日の参議院予算委員会で、共産党の小池晃議員がこの部分を取り上げて「テロに屈するということと、慎重に言葉を選ぶということは違うと思うんです。総理の言葉というのは重いわけですよ。言い方が変わったのは、(演説での表現が)拘束された日本人に危険をもたらすものと(首相も)考えたからじゃないんですか」と質問する。これに対し安倍首相は「小池さんのご質問はまるでISILに対して批判してはならないような印象を受ける。それはまさにテロリストに屈することになる…」と、論点をすり替えてしまった。そして、日本人を救出するための自衛隊の海外派兵…という極端な論議が、出番を待っていたかのように平然と姿を現す…。


 「美しい国、日本」以来、安倍首相は美辞麗句と勇ましい言葉を、時に聞いていて恥ずかしくなるほどに内外で連発し、時にはヒヤリとさせられてきた。しかし、一つだけはっきりしているのは、その犠牲になりツケを払わせられるのは、われわれ一般の国民ということだ。


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