2015年02月20日号

慢性硬膜下血腫


 昨年11月にグループホームに入居した82歳のT子さん。前医からの情報提供書では、昨年8月まで高血圧症と慢性胃炎のため定期通院していたが、8月末から不眠を訴えて週に何度も受診するようになり、9月半ば過ぎに下半身裸の状態で隣家を訪れて吐き気を訴えたため、救急搬送されたそうだ。


 入院後、突然に病衣を脱ぎ捨てたり、訳の分からないことを叫んで不穏状態となったりし、主治医は「認知症の周辺症状の急激な悪化」と判断してグループホームへの入居を勧めた。入居前の家族からの情報では「入院前には多少の物忘れがある程度」とのこと。認知症の発症や進展は数ヶ月から数年単位と比較的緩徐なことを考えると認知症??と疑った。


 慢性硬膜下血腫は、主に高齢者に見られ、比較的軽度の頭部打撲後の頭蓋内出血が原因、血腫(血の塊)は脳を包んでいるクモ膜とその外側の硬膜との間に数ヶ月で徐々に形成される。症状は悪心・嘔吐、頭痛など頭蓋内圧亢進症状、片麻痺や感覚障害、失語症や記憶力低下、意欲低下などだが、高齢者の場合には脳萎縮があるため、頭蓋内圧亢進症状は軽く、歩行障害や転倒、記憶力や認知機能低下など精神症状が前面に出て、認知症と間違えられる。


 T子さんの入居後の往診で記憶力や認知機能低下は軽度だが、歩行が妙に不安定なことに気づき、薬局に睡眠薬の偽薬作成を依頼し服用させ、介護スタッフに睡眠状態を観察してもらった。午後9時頃に入床し、2時間ほど何度かトイレ通いするものの、その後は連続して6時間ほど眠っていると判明。だが、睡眠薬服薬中止後も歩行が不安定で慢性硬膜下血腫を疑った。来院してもらい頭部CT検査を実施、右前頭部と左側頭部に明らかな慢性硬膜下血腫が発見された。脳神経外科で手術、経過は良好で面会に行った家族や介護スタッフとの会話も明瞭で歩行も良好、本日退院とのこと!


世界最小!?ロングライフレコーダー

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