2015年03月06日号

勇気と、潔さ


 以前、この散歩道欄にこんなことを書いたことがある――


 秋田の一地方では幽霊やお化けのことを「もんこ」と言った。母親の背で泣く時、「もんこが来るゾ」と言われて泣きやんだのを覚えている。中学生の時、鎌倉時代の蒙古〈もうこ)襲来を授業で知って、「もんこ」は「蒙古」のことか、と思い当たった(異説もある)。侵略を受けた恐怖が長い時代を経て方言として残ったのか、と変に感動したものだ


 明治以降の日本が、台湾や韓国を植民地化し、中国や東南アジアを侵攻した時、欧州各国も植民地政策を維持していた。当時の情勢下での日本の行動は、現代の視点からのみ批判してすむような単純なものでもない。


 とはいえ、家族が目の前で殺され、拉致された立場の人々の恐怖と悲憤は、生々しい傷となって長く長く残るだろう。その痛みは受けた者にしかわからない▽過去の行動を反省して、正し、そういう過ちを犯さない未来をつくる。その姿勢を貫くには強い勇気が必要だ。ごまかしもあってはいけない。=平成13年7月19日「グリーンタウン」(まんまる新聞の前身)掲載分=


 行きつけの店で出会った年配の男性が、「アメリカは許せないよ。俺の親類は広島でみんなあのピカドン(原爆)に殺されたんだ」と声を大きくした。残虐で無法な行動を続けるIS(アイエス=過激派組織「イスラム国」の英語表記の略称)の話題から、ISが生まれた原因の一つを作ったとされる米国の“戦争犯罪”に話が及んだ時だった。広島・長崎の原爆、沖縄、そして、全国各都市への空襲や一般の人々をも狙い撃ちした戦闘機による機銃掃射…。太平洋戦争での日本国内の民間人の犠牲者は80万人にのぼるといわれる。


 もうすぐ3・11東日本大震災から4年目を迎える。他方で、10万人以上の犠牲者を出した東京大空襲から70回目の3月10日も来る。あの戦争でアジア各国に与えた加害の実態を真正面から見つめて反省する潔(いさぎよ)さがあってはじめて、“民間人虐殺”という犯罪を犯した「米国」と向き合う土台が築けるのではないか、そう思われてならない。


カニ

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