2015年03月20日号

主人在宅ストレス症候群


 毎年定期的に「特定健診」を受けている60歳代前半の主婦A子さん。いつもの受診時に「母は糖尿病、父は高血圧だし…でも私は元気!」と言っていたが、今回の検診時には「ちょっとしたことでドキドキしたり、夜中に目が覚めて胸が苦しくなったり、ときどき喉に何かがつかえたような違和感が…」と。診察をしたが、血圧や心電図も含めて異常は認められない。


 血液データでは、悪玉コレステロールが少し高めだが、服薬を必要とするレベルではない。喉の違和感が気になって上部消化管内視鏡検査を実施したが、異常所見は皆無。彼女に「症状が何時頃から出現?」と尋ねると「半年ほど前の昨年7月頃」と。精神的な要因を疑い、生活環境などに変化がなかったか尋ねた。「単身赴任だった主人が昨年4月に退職し、家にいて何かと気遣ってくれるけど…かえって…」と言いよどんだ。


 「亭主、元気で留守がいい」とは20数年前のコマーシャル。「この時期から種々の不定愁訴を訴える60歳代の女性が増加した」と主人在宅ストレス症候群の提唱者=黒川順夫医師が言っている。退職者が「我が家」に戻って妻と一日中過ごす。妻は生活パターンを崩され、些細なことで余計な確執を生みトラブルに。


 A子さんもこの症例に相当しそうだ。この症候群が発症する要因は様々だが、夫側の要因としては、仕事が生きがいで趣味がなく、家事には興味がない。妻側の要因としては、責任感が強く潔癖症、自己主張が不得手でストレス発散できる趣味がないなど。この逆であれば、この症候群に陥らないですむはずだが、簡単にはいかない。私の場合は朝から晩まで妻と一緒だが、定期的に妻がヨガ教室に出向き、時に自ら「フラフラ病」と称するデパ地下巡りをするので、ここで一息。人間は生まれてから死ぬまで全くの一人きりにはなれないが、時には自由に使える時間も必要だとつくづく思う。


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