2015年04月03日号

この国の方向性


 春の訪れにうきうきしていたら、税理士が計算してきた消費税の納税金額を見て春めいた気分が一気にしぼんでしまった。3月末までに納めろと言う。まんまる新聞は1月決算だから、法人税などは2ヵ月後が、消費税も個人事業主と同様にやはり3月31日が納税期限となる。毎年のことなのだが、今年は消費税の納税額が思ったより多い。思わずため息が出た。税理士先生が半ば同情するように言うには「(消費税が)3%増えただけと思いがちですけど、5%から8%になるということは、6割増えるということなんですよ」。そうか、6割も増えるのか。数字にからっきし弱い散歩人は、またため息をついた。


 中小零細業者にとって、消費税の納税は大変な経営負担になっている。以前、商工業者向けの新聞に「消費税還付、輸出大企業20社に1兆1751億円」(全国商工新聞2012年10月22日付)と報道されたことがある。日本の消費税を外国で取るわけにいかないから、輸出品の消費税額はゼロ。しかし、輸出製品の材料には消費税が加算され、それを納入業者に払っているはずだから、その分を税務署が輸出企業に払い戻すという制度らしい。単純平均で1社500億円の還付を受けたことになる。消費税徴収総額の3割近くが輸出企業に還付される(2009年)などという試算もあった。問題は、車・家電メーカーや商社などのこうした大企業に、材料や製品を納めている下請け業者などが、ちゃんと消費税分を価格に転嫁できているかどうかにかかるのだが、下請けいじめが社会問題化している現状を見ると、結局は大企業が“濡れ手で粟(あわ)”の還付金を貰っているんじゃないかと勘繰りたくなる。


 昨年、決算で過去最高の営業利益を出したトヨタ自動車の豊田章男社長が「社長になってから国内では税金を払っていなかった」と会見し波紋を広げた。法人税を5年間も払っていなかったのだとか。大企業には様々な減税措置があり、それを駆使した結果だといわれる。
 こんなところからも強者にやさしく、弱者に冷たい、この国の方向性と実態が見えてくるのだ。


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