2015年04月03日号

高コレステロール治療の是非


 3月上旬の「読売新聞」に「コレステロール(以下Choと略)の過剰摂取は問題なし」との記事が掲載された。「米国保健福祉省と農務省の食生活指針諮問委員会が、Cho摂取量と血中Choの関係を調べたところ、関連性を示す証拠はなかった」との内容である。わが国の厚生労働省も昨年3月に作った食事摂取基準から、生活習慣病予防のためのCho摂取制限の目標量を廃止している。


 この記事に関連するかは不明だが、つい最近某週刊誌が「Cho値250mg/dlは健康体だった」と掲載。この記事では悪玉Choは動脈内腔損傷の修復作用があり、血中Cho低下薬の使用は罪であるかのように読めた。2つの記事を読むと、医学の専門家でない限り、「食事から摂取するCho量」は制限する必要はないし、「血中Cho量」を下げる必要もないと理解してしまうだろう。


 この掲載記事が根拠としている論文を集めて読んでみた。Cho摂取制限撤廃については、否定する論文は見つからなかった。Cho低下薬服用は罪としている某医学情報研究所の論文によると、ある地域の住民健診では悪玉Cho値が高いほど死亡率が低いとされている。だが、【率】という統計学的数値は往々にして間違った結論を導くこともある。


 女性は閉経期以後、女性ホルモンの減少のため徐々に悪玉Cho値が上昇する。だから悪玉Choの高値群には女性の比率が高く、低値群は男性比率が高くなる。男性の死亡率は女性より高いので、見かけ上、男性比率の高い悪玉Cho低値群で死亡率が高くなる。実際にはこれほど簡単ではないが、住民健診を利用した統計学的疫学調査には用心が必要だ。これからも高Cho治療の是非論争は続きそうだが、男女差、遺伝的素因の有無、合併疾患の種類や有無、個人の生活習慣の差異など種々の要因を考慮した多変量解析の手法が必要になると思う。


家あげ花火

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