2015年05月01日号

溶連菌感染症


 30代半ばのDさんが来院。「数日前に子供が溶連菌感染症と診断、自分も昨日から38度の発熱と喉の痛みが出現したので調べて欲しい」と訴えた。一般的に溶連菌感染症は小児科領域の疾患、大人も感染することが稀ではない。


 小児の溶連菌感染症は、後述するように重篤な症状・後遺症を引き起こすことがあるので、確実な診断と治療が必要だが、成人の場合には発熱や頭痛、咽頭痛や腹部症状など一般的な風邪症状のみで治癒することが多い。Dさんを診察したところ、咽頭部の発赤が認められ、数個の頸部リンパ節も触れ、溶連菌感染症の可能性もあった。


 溶連菌は、正式名を溶血性連鎖球菌と言う。この菌を寒天培地(羊の赤血球を混合)で培養すると、赤血球が破壊される溶血現象が見られる。顕微鏡で観察すると、球状の菌が連鎖していることからこの名前が名付けられた。菌が組織を破壊して咽頭炎など急性感染症を引き起こしたり、菌が作る毒素による猩紅熱を発症したりすることがある。最も重大なのは治癒から数週間後に起こってくる免疫反応が原因のリウマチ熱(関節リウマチとは別疾患)や急性糸球体腎炎、心内膜炎である。急性糸球体腎炎は慢性腎炎、心内膜炎は心臓弁膜症という後遺症を残す。


 Dさんには、上記の溶連菌感染症の説明をして「診察でその可能性も疑われるけど、大人の場合には免疫機構がしっかりしているので重大な事態になる可能性は少なく、抗生物質の服用や鎮痛・解熱薬で対処すれば良くなります。保温して充分な水分摂取、安静を保ってください」と。Dさんは重ねて「絶対に大丈夫ですね?」と。ここで答えに躊躇した。科学では同様の事象を集めて統計学的手法に基づく判断をする。だから、医療も含めて現代科学では「可能性『絶対に』ゼロ」はありえない。「人によって様々な経過があるので絶対とは…」と言葉を濁した!


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