2015年05月29日号

風そよぐ・・・


 「風」が好きで、小さい頃から風が吹いてくると何だかワクワクしてくるのだった。少し暖かみをおび始めた春からは、そよ風が頬をなでるだけで、ほっと和(なご)んで、心に灯がともったようにときめいてしまうことさえある。強い風がにわかにざざっと吹き渡り、木の葉がきらめいたり、草や花が泳いで野原に風の紋が広がって行く情景には、気持ちの高ぶりすら感じてしまう。風に流れる雲を見上げていると、時間がたつのも忘れて、いつの間にか心も風に飛ばされたように軽くなっている…こうして年を重ねながら、どれほど風に心を躍らせ、慰められてきただろう。


 俳句の春の季語に「風光る」という表現がある。《春になって日の光が強く明るくなり、吹き渡る風にも眩(まばゆ)い感じがある。これを「風光る」という。(中略)新しく「風眩し」と用いる句も出ている。「風かがやく」の例もある。》(新潮社編/俳諧歳時記)。夏の季語には「風薫(かお)る」というのがある。《山野を渡り、若葉青葉の香を運んでくる穏やかな風を言う語。》(角川書店/ふるさと大歳時記)。南風を「薫風(くんぷう)」ともいうそうで、若葉青葉の香りに、きっとどこからか花の香りものせて、そよ風が心地良くふいている…そんな夏の初めの景色。


 吹く風は、科学的には……空気は温まると風船のようにふくらんで軽くなり、どんどん上に上がっていく性質があり、冷えると小さく縮んで重くなり、下に下がっていく性質を持つ。こうして上下する空気の流れを“対流”と呼び、この対流によって風が発生する……のだそうだが、肌をなでるこの風は見えないはずの空気が動いてるんだと思ったら、何だか不思議に感動してしまった…。


 ところで、風が「そよぐ」の漢字を調べたら「戦ぐ」と出て来たのには驚いた。恥ずかしいことに知らなかったのだが、「戦」には《おののく・ふるえる→そよそよとゆれ動く・そよぐ》という意味もあって、「戦(そよ)ぐ」と書くらしい。う~ん、キナ臭い風が“戦い”できたような…。ちょっと嫌な気分になった。


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