2015年06月19日号

糖尿病と糖質制限食


 糖尿病治療中のAさん、インターネットで糖質制限食が糖尿病治療に有効との情報を得て、ご飯やパン、麺類などの糖質摂取を一切中止した。3ヶ月後には体重が3kg減少し、糖尿病コントロールの指標=HbA1c値は顕著に改善したが、以前から少し高かったクレアチニン値が上昇して腎機能の低下が観察された。だが、3ヶ月後にはHbA1cや腎機能の指標は以前の値に戻った。


 Aさんにその後の経過を尋ねたところ、「食事の満足感がない」との理由で1ヶ月前に中止したそうだ。今年の日本糖尿病学会で「低炭水化物食は是か?非か?」とのディベートが行われたそうだが、一般内科として日常臨床を行っている立場からすると、「是か?非か?」との二元論で処理できる問題ではないと思う。


 糖尿病という病気は厄介な病気だ。「インスリン作用の不足によって起こる高血糖」と定義されているが、患者の発症や病態は様々で治療法も異なることから「糖尿病症候群」と呼ぶのが正しいとさえ思える。極端な糖質制限をすると、必要なエネルギー産生のため脂質や蛋白質を利用するが、脂質の分解過程で有害なケトン体が過剰産生されたり、蛋白質の分解産物が腎臓に過剰な負荷をかけたりしてしまう。エネルギー産生の主役を務めるTCAサイクルを円滑に作動させるには、適量のブドウ糖=炭水化物が必要なのだ。


 インターネットでは糖質制限食が糖尿病やダイエットに万能のような記述が多い。SGLT2阻害薬という尿中に糖排泄を促進する糖尿病薬が発売されて約1年になり、この薬が糖質制限食と同様の効果があると思われていたが、違いも明らかになってきた。肥満、腎機能正常、65歳以下などの条件が揃えば、SGLT2阻害薬も糖質制限食も糖尿病治療に有用とのこと。だが、どちらもバランスの良い食事と糖尿病治療に精通した医師の指導のもとに行うべきだ!


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