2015年07月03日号

重力依存性浮腫


 Hさんは80歳代前半の男性、10数年前から奥様と一緒に定期通院している。「先日、夫の脚を見たら象…若い時はカモシカだったのに…腎臓が悪いのかしら」と。Hさんの病気は高血圧症、血圧のコントロールは良好で腎機能も含めて明らかな合併症は見られていない。最近、意欲や活動量の低下が気になっているとの奥様の話。


 Hさんの脚を見ると、足背と下腿がむくんで足首がくびれ、靴下のゴム部分も凹んだ状態…皮膚を押すと、凹んだままでしばらく元に戻らない。明らかな浮腫=むくみ。
 浮腫を起こす疾患は様々あるが、腎臓病で蛋白質が尿中に過剰排泄されたり、肝臓病で蛋白質合成が低下したりすることで低蛋白血症となり、血管内の浸透圧が低下して組織に水が染み出すことで生ずる浮腫。心臓は全身に血液を送り出すと共に末梢から血液を吸い上げる機能も担っている。心不全では吸い上げ機能が低下して末梢に鬱血が起こり、血管壁の小さな孔から水が組織内に滲み出して浮腫になる。いずれも重力の法則に従って下半身(寝たきりでは背部)に強く生じる。高齢者の場合には、活動量の低下が下半身の鬱血を起こして重力の法則に依存した浮腫が起こる。


 Hさんの場合、尿・血液検査で腎機能や肝機能に異常なく血清蛋白量も基準値下限に近いながらも基準値範囲内だ。Hさん、起床して朝食を摂った後は、ほぼ一日中トイレに行く以外はソファに座って過ごすそうだ。長時間の同じ姿勢、特にソファは尻が膝関節よりも下がって足部に鬱血が起こりやすい。重力の法則により下肢や足部に鬱血が起こり、血管壁の孔から水が組織の中に滲み出て浮腫となる。奥様は利尿剤の処方を希望したが、先ず座位の時と就寝時の下腿の挙上、おやつの時に10数分間座位での足踏み運動を指導。1ヶ月後の再来時に浮腫は軽減していた、高齢者は活動量低下が浮腫の原因となる!


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