2015年08月07日号

「いつの間にか」


 連日30度近くを行ったり来たりして、暑い暑い…とぼやいているうちに、8月8日は「立秋」。いつの間にか、秋の気配がしのびよる季節を迎える。半月後、盆が過ぎて8月23日は「処暑(しょしょ)」。暑さがおさまり、涼しい秋風が立つ、そんな初秋の風情が強くなる頃だという。1年の暦を24の季節の移り変わりに分けた二十四節気の上では、立秋…処暑と、もう秋に入る。


 ミンミンと鳴くエゾハルゼミの蝉しぐれがいつの間にか止んで、森や街の木立ちにいく日かの静寂が戻った後、7月も半ばを過ぎて夏の盛りを迎える頃から、今度はジージーという夏ゼミの蝉しぐれが降り注いでいる。7月下旬の後半あたりからは、道端の草むらからキリギリスなんかの虫の声が賑やかに聞こえるようになった。セミは夏の盛りを過ぎると姿を消すけれど、キリギリスなどは秋にかけての生命。自然の営みは1歩1歩着実に時を巡っている。


 そういえば、7月16日の日誌に「トンボ見る。1匹だけ…」とあった。厚別のもみじ台通りを走っていたら、車の前をトンボがスイーッと横切って行ったのだ。今年初めて見たその姿が本当にうれしくて、つい書きとめておいたのだが、それが1匹だけだったのが少し悲しかった。そして、それから半月以上経つのに、トンボの姿は一度も見ていない。日の光に羽をきらめかせながら、すいすいと群れをなすほどに飛び交っていたトンボ。さおの先、石の上…いたるところに止まっていたトンボ。気のせいだろうか、もう何年も前から、当たり前にトンボが飛び交っている情景が、いつの間にか街の中から消えてしまったような気がして、いまだにその風景を探し求めている。やがて、秋風が立って、空に赤トンボが行き交う季節を迎える。あの、赤トンボたちにまた会えるだろうか。


 …と、いつの間にかトンボの姿が見えなくなった…などと思いながら、「いつの間にか」という言葉が妙に心に引っかかってきた。いつの間にか…良くなっているのならいいけど、いつの間にか、かけがえのない大切なものを失ってしまうのは恐ろしい。例えば太平洋戦争への道は、庶民にとっては「いつの間にか」の積み重ねの側面もあった気がする。自分の幸せのために、家族の幸せのために、人々の幸せのために、後に続く人たちの幸せのために、何が本当に大切なのか、何をなすべきなのか…もう一度考えてみようと思う。「いつの間にか」と後で悔やんでも取り返しがつかないこともある…。


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