2015年08月21日号

労咳と呼ばれた国民病


 Aさんは70歳代半ばの男性、以前から高血圧症と慢性腎臓病で通院している。7月上旬の受診の際に定期的に行っている胸部レントゲン検査で右上肺野に異常陰影を発見。胸部CTを実施したところ、複数の空洞を伴う結節状陰影…肺結核を疑った。


 自覚症状を尋ねると、「少し痰が多いかな」程度で、倦怠感や体重減少もなく、寝汗や咳嗽(がいそう)、微熱などもないそうだ。肺結核を診療している某総合病院呼吸器内科に紹介した。中間報告書によれば「排菌はないが、強く肺結核が疑われる」とのこと。これとは別に「39℃の高熱が2日続いた」と訴えて受診した80歳前半のBさん、右上肺野に瀰漫(びまん)性陰影が認められ急性肺炎を疑って胸部CT検査を行った。一部に空洞形成が認められアレルギーが関与する好酸球という白血球が増えていた。高熱以外の自覚症状はなく、抗菌薬の服用で翌日から解熱した。


 昔は労咳と呼ばれ、明治時代には国民病とか亡国病と呼ばれた肺結核…戦後、抗結核薬の発見で急激に減少し、「過去の病気」とまで言われた。最近、栄養状態の向上で倦怠感や食欲不振、寝汗などの消耗症状が出現せず、咳嗽や喀痰(かくたん)などの呼吸器症状も欠いて発見される結核が増えている。加えてPASやINAHなどの抗結核薬、ストレプマイシンやリファンピシンなど抗生剤に耐性を示す結核菌が出現して問題となっている。


 Aさんの最終結果報告書は届いていないが、Bさんに関する報告書は直ぐに届いた。「アレルギー性肺炎に細菌感染が併発した可能性が高い」とのこと。私が30歳前後の一時期、結核病棟に配属されたことがあり、肺結核に関して少しあった自信が揺らいだ。Aさんは慢性腎臓病、Bさんはコントロール不良の糖尿病で、いずれも免疫機能が低下し、結核菌に感染しても不思議はない…「過去の病気」?と言われても安心はできない!


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