2015年09月18日号

スズメバチに刺された!


 60歳代半ばで、高血圧症で定期通院しているIさんが来院した。先日来院したばかりなのに、どうしたのか?と思って診察室へ呼び入れた。「3日前にスズメバチに刺され、今度刺されたら命にかかわるよと言われたので受診した」とのこと。刺された部位を見ると、微かに刺入部位が残っているだけで、腫れや痛みは無い。「大事にならなくて良かったね」と言って診察終了。


 診察室から1度出て戻ってきたIさん、「実は救急車で運ばれ、救急隊員から『応急措置で注射した』と言われた」と。改めて詳しく話を聞くと、スズメバチに刺され「どうしよう?」と思っているうちに息苦しくなり、意識を失った。近くにいた人が救急隊を呼び、搬送されたそうだ。


 アナフィラキシーは即時型アレルギーとも呼ばれ、発症から10数分ほどで血圧低下や意識障害など生命を脅かすショック症状を引き起こす。食物摂取、薬剤の服用や注射、昆虫に刺されて起こるアレルギーである。こんな事態に遭遇したら、直ぐに救急隊を要請、到着までの間、救急措置のABCを実施する。まずAはAirway、仰臥させて肩に何かを入れ、首を後ろに反らす姿勢で窒息を防ぐ気道確保、BはBreathingで人工呼吸、マウス・ツー・マウスが効果的、CはCirculation=血液循環で心臓マッサージである。


 Iさんの場合、ABCが実施されたか不明だが、救急隊は緊急措置としてエピネフィリンの注射をしたらしい。この薬剤はショック症状の改善に有効だが、あくまで医療機関に到着するまでの応急処置である。アナフィラキシーに陥った既往のある人、山林などスズメバチなどに刺される危険性の高い人へ自己注射目的で処方できるので、Iさんにも処方した。乱用は危険な薬剤で、メーカーに処方医として登録する必要がある。スズメバチの巣を見つけたら…危険回避が一番…「君子危うきに近寄らず」だ!


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