2015年10月09日号

言葉の宝物


 9月24日に胆管がんのため54歳の若さで亡くなった女優の川島なお美さんが、亡くなる16日前に撮影した映像が葬儀を前に公開されて話題を呼んだ。この映像は、乳がんの早期発見・早期診断・早期治療の大切さを伝えるピンクリボン運動の一環として、運動を応援するNPO法人日本ネイリスト協会に協力し、川島さんがピンクリボンをテーマに考案したネイルデザインを紹介する78秒のビデオ。痩せ細った姿で出演した川島さんは「見た人が思わず笑みがこぼれてしまう、そんなことを想像しながら(デザインを)書いた。ハッピースマイルをいっぱいいっぱい施したかった」…という自身のネイルデザインを紹介しながら「“人は幸せだから笑顔になるんじゃない。笑顔でいるから幸せになるんだ”という言葉が大好きで、つらい時もどんなに悲しい時も、頑張って笑顔でいれば幸せにやっていけると、私は信じている」と、病気と闘う自分に言い聞かせているようにも聞こえるしっかりした大きな声で、終始笑顔で語りかけた。


 「人は幸せだから笑顔になるんじゃない。笑顔でいるから幸せになるんだ」という、たったこれだけの言葉が最後の最後まで支えになり、人の魂を救い上げる…。言葉というのは、すごい力を持っているとつくづく思う。歴史に名を残す偉人たちの名言、至言もいろいろあるけれど、散歩人の人生を真ん中で支えてきてくれたのは、親や先輩、知人、あるいはさまざまな人たちから身近に聞いた言葉だったり、酒場なんかで口ずさむ演歌の歌詞だったりした。


 父親がいつも口にした「信用つけるには長くかかるが、なくすのは一瞬だ」も、母親から元気付けられた「バカにするのがいたら(そいつが)バカだと思え。偉い人間は人をバカにしないものだ」という言葉も、知らない内に心に刻み込まれていた。初めて就職した会社の社長は「何をやるにしても最悪の結果を考えておけ。何があってもあわてないですむ」と口癖のようにいい、それが身に染み付いた。仕事がうまくいかない時に取引先の主人が「世の中も人も、いい時があれば悪い時もある。悪い時があれば必ずいい時が来る」と励ましてくれた言葉は、ずうっと苦しい時の支えになっている。


 テレビやラジオから流れたいろんな人たちの言葉が胸にずんと入り込むこともある。「苦しみは幸せのはじまりだ」「1人の悪人がいても、1000人の善良な人がいますよ」「1人でいい、1人わかってくれる人がいれば大丈夫」……。


 何気ない言葉でも、生きる拠りどころになってくれる。忘れられない言葉の宝物がどんどん増えていく。それを心の引き出しからひとつひとつ取り出しては、かみしめてみる…。


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