2015年10月30日号

味覚のお話


 味は主に舌の味蕾という部分に食物が触れることで感じます。以前より甘み、塩味、酸味、苦みの4つが基本的な要素として挙げられていましたが、近年は日本人には大事なだしの成分でもある、うまみも含め5大要素として挙げられるようになってきました。うまみ成分の一つであるグルタミン酸ナトリウムは化学調味料として広く使われています。食べ物をおいしいと感じるには味覚の神経単独ではなく、匂い、視覚(彩りなど見た目)、食感、なども関係するため、総合して風味と呼ばれたりもします。昔、子供に嫌いな物を食べさせる時に、目を閉じて、鼻をつまんで飲み込ませたのは視覚や嗅覚を遮断することで味を感じにくくなるという経験からだったのでしょうか。


 味が判らなくなる味覚障害には様々な原因が考えられます。舌自体に原因がある場合は菌の感染による炎症、鉄、亜鉛の欠乏や薬剤による舌の炎症や味蕾の障害が代表的です。更に感染の原因としては義歯の不衛生、口の乾燥、抗生剤や免疫を抑える薬の長期使用などがあります。


 日常の診察で最も多く経験するのは、嗅覚障害によるものです。アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などが原因でにおいが判らなくなり風味障害を起こすものです。


 味覚を感じる神経は耳の奥で、顔を動かす神経である顔面神経から枝分かれしています。そのため顔が動かなくなる顔面神経麻痺や、慢性的な中耳炎により片側の味覚が低下していく事もあります。


 良薬は口に苦しと言いますが、近年は錠剤が多くなり表面が薄いフィルムでコーティングされていますので、ほとんど苦みを感じなくなってきました。一方、水無しで飲める口腔崩壊錠という口の中で唾液で溶けるものが増えてきております。本来ならば口で溶ける事で苦みを感じるはずなのですが、香りのフレーバーを足す事により感じにくく作られています。風味による錯覚を利用した技術と言えます。


 くろだ耳鼻咽喉科クリニック 黒田 努 院長

 くろだ耳鼻咽喉科クリニック/江別市大麻中町2―1【TEL】387―8000。


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