2015年12月18日号

老化の自覚


 「先生はいつも元気で…病気とは縁がないのでしょ」と診察のときに言われた。「いやいや、人並みに腰や膝も痛くなったし、高血圧や糖尿で薬も飲んでいますよ」と答えたら、意外な顔をして「あら、お医者様は、いつも健康に気遣っているから、病気とは縁遠いと思っていたわ」と。


 釈尊は「(人は)生病老死の四苦から逃れられない」と言っている。当初は「生が、なぜ苦なのか?」疑問に思ったが、人の一生に「病老死」という「苦」は不可避だ、だから生きるということは、避けられない病気、老化そして死を思い悩むことで「苦」に転化するのだと納得した。


 生命老化現象を一言で定義することは困難だが、脊椎動物に限っては、誕生から成熟、やがて活動性が低下して死に至る過程と定義しても良いだろう。この過程を決定している原因については、遺伝子のテロメアと呼ばれる部分が徐々に短くなって細胞分裂ができなくなる説、細胞分裂の際に起こる遺伝子複製にエラーが徐々に増える説、生命活動に必須のエネルギー代謝に伴って発生する活性酸素が細胞障害を起こす説などがある。


 これらの説は学術研究レベルの話だが、万物の霊長たる人類は、この現象を「自覚」できる唯一の生物である。加齢とともに運動機能や知覚機能、持続力や集中力、認知機能や判断力などの低下が確実に出現してくるが、中にはそれを自覚できない(しようとしない)人がいる。自分が可能と思い込んでいる幻想と現実能力との乖離が生じて周囲とのトラブルの原因となる。また、中には親の機能低下を受け入れることができず、「やればできる」とただただ親を激励したり、「昔は普通にできたでしょ」と無暗に叱責したりする息子や娘たちも珍しくない。人間には確実に訪れる身体・精神能力低下を自身で感知する能力が備わっており、介護する側もそれを的確に受け入れる力量を持って欲しい!


ICレコーダー サンヨー

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