2016年01月08日号

たとえ一言でも


 地下鉄南北線でのこと。イヤホンをつけた20歳代の若い男性が、乗降口横の手すりの近くに立っていた。さっぽろ駅で70歳代ほどの年配者が乗り込んできたのだが、若い男性が邪魔で手すりがつかめずカッとしたのだろう、「そんなところに立っていたら邪魔だろう」といきなり大声で怒鳴りつけ、まわりを驚かせた。それで終わりかと思っていたら、オジサンは若者のわきに立ち、大きな声でぐだぐだと文句を言い始めた。若者は無視し続けている。大通駅を過ぎすすきの駅に近づく…。業(ごう)を煮やしたオジサンは「お前らみたいな若い奴らが世の中をダメにするんだ」と、ひときわ大きな声でまた怒鳴った。若者は冷静な感じでイヤホンを外すと、オジサンを見てはっきりした口調で「そんなダメな世の中を作ったのは、あんたらオヤジだろう」――こう言い放つと、言い返せないでいるオジサンをしり目にすすきの駅で降りていった…


 若者のひと言に「あの時は本当に胸がスッとした感じでした」と、40歳代半ばの女性スタッフがこのちょっとした出来事を教えてくれた。若者のささいな非を執拗(しつよう)に攻め立てるそのオジサンを見て、この人は自分に都合の悪いことはみんな人のせいにしてきたんだろうなと、何だか嫌な感じがしたそうだ。


 時間給だけで使い捨てにされる将来の見通しすら立たない非正規労働の拡大、富める者も貧しい者も一律に取り立てられる消費税のさらなる増税、医療・社会保障のさまざまな締め付け…政権や政府の掛け声だけは景気がいいが、多くの一般市民の現実の生活は、見るも無残に過酷だ。


 若者が言い放ったひと言は、ある意味において的確だった。この現状を作り出してきた政治の進路を選択してきた責任は、われわれ選挙民にその一端がある。若者が夢を持って生きて行ける世の中をつくるためにも、現実の中に生きる1人ひとりがもっと勇気をもって声を上げてもいい時かも知れない。その声が高ければ高いほど、たとえ少しずつでも政治は軌道修正されるはずだ。


のだめ CD

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