2016年01月29日号

見えてきた“貧しさ”


 大学生など15人が亡くなった軽井沢スキーバス転落事故は、1月15日未明に起こってしまったのだが、17日には、今度は兵庫県姫路市の高速道路で、宝塚歌劇団の観劇に向かう乗客42人を乗せた観光ツアーバスの運転手(70歳)が意識を失って蛇行運転の状態になり、女性添乗員が呼び掛けても反応がなかったため、運転手が気が付くまでの約10分間、横からハンドル操作を補助し惨事にいたらなかったというゾッとするようなニュースが流れた。さらに20日には東京大田区の環状8号線で、30人が乗った日帰りバスツアーの観光バスが中央分離帯に衝突し、乗客24人が軽いけがをした事故が発生した。バスの運転手(58歳)は「ぼーっとしていた」と供述しているという――。


 立て続けに起きたバスの事故。この3件はいずれも中小のバス会社のチャーター運行で、運転手の年齢も高いのが共通している。軽井沢の転落事故で死亡した運転手も65歳(同乗していた交代要員の運転手は57歳)だった。他の2件同様に、健康問題が事故に密接にかかわっているという指摘も出ている。規制緩和によって貸し切りバスの事業者が急増し、外国人観光客の増加などもあって運転手不足が深刻化、そのため高齢化が進んだといわれるが、夜間運行や走行距離の増加、休みが取れないなど勤務は過酷で、しかも人手不足なのに賃金が低いなど労働環境が悪化しており、こうした事情が事故につながったともいわれる。


 軽井沢のバス事故でこんな報道もあった。「亡くなった運転手2人について、勝原運転手の遺体は16日、自宅に送り届け、夫人に引き渡した。運転していた土屋運転手については、同社で遺族を把握できておらず、遺体を引き渡せていないという」(日刊スポーツ1月17日ウェブ版)。運転手のその境遇を思いやれば何だか身につまされる話だ。


 バス事故のニュースの一方で、廃棄食品の横流し事件が世の中に大きな衝撃を与えている。横流しされた廃棄食品が再び販売され、さらに弁当の材料にもされているなどのショックな実態が明るみに出た。その背景に垣間見えるのはバス事故と同様に、豊かだと思っていた日本が、実は“貧しさ”にあえいでいるという現実の姿…。


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