2016年04月29日号

「ありがとう」の重み


 森は早春の草花が芽吹く“下萌(も)え”の季節。福寿草、カタクリ、ニリンソウ、エゾエンゴサク、エンレイソウ、ヤチブキ、アズマイチゲ……多くは、昼に花を広げて夜に花を閉じる。木の葉が開く前に地面まで降りそそぐ日ざしを受けて、この時とばかりに花を咲かせ、栄養を蓄えて夏までには葉を枯らしてしまう早春の花々は、「スプリング・エフェメラル(春のはかないもの)」とも「春の妖精」とも呼ばれる。


 野にはもうすぐタンポポの黄色があたり一面に広がって、忘れな草や踊子草やスミレなどの小さな花々が咲き始める。山々は新緑におおわれる直前の一瞬、赤や黄のパステルカラーで描いたような淡い色合いの春紅葉(はるもみじ)に彩(いろど)られる。新しい生命が生まれる一瞬一瞬の情景。時折り立ち止まって、その中に身をひたしてみれば、ああ、と思わずため息が出るような感動につつまれたりする。


 九州・熊本や大分の群発地震はいまだに多くの人々を苦しめている。テレビのニュースを見ていてつくづく思ったのは、東日本大震災の時もそうだったけど、この熊本大地震でも、身を挺(てい)して救助に当たったり、道路を復旧したり、物資を運んだり、率先して被災者の世話をする多くの人々が、被災した人々の苦しみに向き合いながら確かに存在するという事実だった。その中の多くの人は自らも被災者のはずなのに…。そしてもうひとつ、過酷な状況の中で取り交わされる気配りと、そして、「ありがとう」のひと言…。


 まばゆいほどの日ざしに春の風が輝いて、青くかすむはるかな山々の空には白い雲がゆるやかに流れている。桜が咲いて、山野の花々がいっせいに花開く、北国は今、そんな「春、爛漫」の季節を迎える。そして、5月5日「こどもの日」は、季節の巡りを示す二十四節気の「立夏」。夏の気配がしてくる頃でもある。一日も早く地震の群発が終息することを祈りながら、春風のように暖かく人の心を生き返らせる「ありがとう」の重みを考えている…。


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