2016年05月20日号

リラの花咲く季節


 明るく暖かな日差しが降り注いでいる。薄青の霞(かすみ)の向こうに、雪をのせた春の山々が白く輝いて連なっていて、それが、この季節にはなぜか近くに大きく迫って見える。野や畑ではヒバリが盛んにさえずっている。道沿いのいつもの茂みから今年もウグイスが鳴き始めたのが聞こえて、うれしくなった。


 道端に薄青や薄桃色の忘れな草がほつほつと咲き出して、あたり一面はタンポポのまぶしいくらいの鮮やかな黄色。踊子草やオオイヌノフグリ、カタバミやハコベやゲンノショウコ…野や道端に咲く小さな小さな草花たち。もうすぐ、足もとにひっそりと花開く極小の花々もまた、輝くように咲き誇る。ライラックが花盛りになって“リラの花風”(フランス語名はリラ、英語名がライラック)がほのかな香りを乗せてそよ吹く季節…。「ああ、春だ!」誰にも同じに春なのだ…と何だかうきうきしてしまう。


 今年の5月20日は、季節の移り変わりを表す二十四節気の「小満(しょうまん)」に当たる。――陽気が強まり、草木が枝葉を伸ばして盛んに茂り、成長の勢いが天地に満ちてくるころ。希望に満ちた季節でもある――と、以前本紙では紹介している。「小満」の語源には、「秋に蒔いた秋まき小麦が育ち、穂が付き始める頃(7~8月収穫)。少し満足するため小満とする」説や、「自然界にあるものが、次第に成長し満ちてくる(小さく満ちる)ため、小満とする」説などがあるという。北国では“春本番”の感覚だが、暦の上ではもう夏…。


 医術は病を治し、自然は心を癒やす――そんな言葉を聞いたことがある。小川のせせらぎや鳥のさえずりに耳を傾け、風と木々のささやきを聞いて、道端の花々に話しかけ、夜は星や月影を見上げるだけで、人はどれほど救われてきたのだろう。晴れ晴れとしたこの季節の空も木々も花々も鳥たちも、数千年前の縄文の頃ときっと大きくは違わないのではないか。大昔からの人々もまた同じように、自然の中に生きる力を養(やしな)ってきた。何も変わらない…ふと、そう思った。


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