2016年06月03日号

お口の中の大特集


 モノを噛(か)む動作は頭脳に刺激を与え血のめぐりを活発にし、血液を心臓に戻すポンプの役割を担(にな)っている。歯が少なかったりして噛めなくなると、脳細胞を増やすための“刺激”が減少して、脳機能が減退し老化が加速されることもわかった。子供の場合は噛む動作が脳の発達を促すほか、あごを中心とした顔の骨格の発達に大きく影響する。研究が進めば進むほど、口腔内の健康の大切さがクローズアップされてくる。知らないうちにどんどん進行してしまう歯の病気。かけがえのない健康を守るために…歯医者さんに口の中をチェックしてもらう「半年に一度の定期健診」が呼びかけられている。6月4日~10日は「歯と口の健康週間」。


 ●どうして虫歯になる?


 口の中には数百種以上の細菌が住みついている。その中のミュータンス菌という種類は歯の表面に付着する性質があり、食べ物カスなどの糖類を分解して強い酸を出し、歯を溶かして深部に入り込んでいく。虫歯は、細菌が歯から身体の中に侵入していく“感染症”ともいえる。


 ●歯周病が引き起こす病気


 歯周病とは、歯垢(プラーク)の中の細菌によって歯肉に炎症をひき起こし、やがては歯を支えている骨を溶かしていく病気のことで、結果的に歯を失う原因となる。歯垢は取り除かなければ硬くなり、歯石といわれる物質に変化し歯の表面に強固に付着する。歯科医はスケーラーという器具などを使って歯周病の原因であるプラーク(細菌そう)と共に歯石を取り除く。まずは、正しい食後の歯磨きの徹底が出発点。


 歯周病は心臓疾患との関係が特に注目されているが、それ以外にも多くの病気を引き起こすことがわかっている。口から食道へと入っていくはずの飲食物が誤って気管支に入ってしまい、免疫力が低下している高齢者では肺の中へつばと一緒に入った歯周病菌が増殖して死に結び付いてしまう「誤嚥(ごえん)性肺炎」。肥満、糖尿病、メタボリックシンドローム、そして、「早産・低体重児出産」。歯周病を持つ妊婦は早期低体重児出産のリスクは歯周病を持たない妊婦の2・83倍にもなるという。


 ●口とインフルエンザ予防


 歯磨き指導でインフルエンザの発症率が10分の1に…インフルエンザのウイルスから気道を守るタンパク質が、歯垢や歯石、舌苔などから発生する酵素で破壊されるため、歯磨きなどを良くし口を清潔にすることでインフルエンザ予防になるという。歯磨き、舌磨き、歯垢の除去など口腔ケアの重要性がクローズアップされている。


 ●飲み物・食べ物で歯が溶ける「酸蝕歯」って?


 虫歯菌が出す酸で歯が溶けるのが虫歯なら、食べ物や飲料の酸でも歯は溶け、それを「酸蝕歯」(さんしょくし)といっている。通常、食物の酸に触れて、大人の歯で2mmほどあるエナメル質が溶け始めても、唾液のミネラル分で中和され、唾液中のカルシウムで再石灰化され補修される。それが、エナメル質が溶け始めて柔らかくなると、歯の表面に白濁した部分が出始め、再石灰化が間に合わなくなると、歯の先端部分などは薄くなって透き通ったり、歯の表面が溶けて研磨したようにツヤツヤになったり、欠けてしまったり…。やがて、溶解が象牙質まで達すると、一気に虫歯に進行してしまう。


 コーラやジュース、スポーツ飲料、酢など、エナメル質が溶け始めるpH(ペーハー)5・5以下の酸性飲料・食品を習慣的に摂取している場合にリスクが高まるため、例えば▽赤ちゃんに哺乳瓶でジュースを与える習慣を付けない▽酸性の飲食物を口にしたら、水やお茶を口をすすぐつもりで飲む▽果物など酸っぱい物を食べたら、唾液の力でエナメル質の軟化がおさまる30分ほどは歯磨きをひかえる▽歯磨き剤はフッ素入りに▽歯ブラシは柔らかめの物を使う……。


 白濁したり、歯の先端がが薄くなっていたり、欠けてきたり…そんな場合は、虫歯になる前に歯医者さんでしっかりメンテナンスを。


 ●よく噛む8大効果


 ①肥満防止(噛む動作の刺激は、脂肪を燃やす働きをする「褐色脂肪細胞」を活性化して、噛むことでダイエット=プラス高血圧・高コレステロール改善=効果が得られるという)②味覚発達(おいしさ、微妙な味わいが良くわかるようになる)③言葉の発音④脳の発達⑤歯の病気予防(唾液が持つ洗浄、虫歯菌が出す酸や食品の酸を中和、含有カルシウムによる歯の保護再生…などの能力)⑥ガン予防(唾液の効果)⑦胃腸快調⑧力の発揮(奥歯をかみ締めて最大の力を発揮、硬いものを噛む習慣で集中力増強)――噛まない食事の末路は悲惨!?


 ●歯が少ない人ほど脳機能減退!!


 残っている歯が少ない高齢者ほど、記憶を司る大脳の海馬(かいば)付近の容積などが減少し、脳の機能が減退することが明らかになっている。東北大学大学院の渡辺誠歯学研究科長(当時)らのグループの研究によると、仙台市内の70歳以上の高齢者1167人を対象にした調査で、健康な652人は平均14・9本の歯があったが、認知症(当時は「痴呆」)の疑いのある55人は同9・4本と少なかった。さらに、69歳~75歳の高齢者195人の脳をMRIで撮影し、残っている歯や噛み合わせの数と、脳組織の容積との関係を調べたところ、歯が少ない人ほど脳の海馬付近の容積が減少していたほか、意志や思考をになう前頭葉付近の容積減少が確認され、噛み合わせ数が少ないと脳組織の減少度合いが大きくなることも明らかになったという。渡辺誠氏は、「かむことで脳は刺激されるが、歯がなくなり、歯の周辺の痛みなどの神経が失われると、脳が刺激されなくなる。それが脳の働きに影響を与えるのでは」(毎日新聞)と分析。人が噛めなくなると、脳細胞を増やすための“刺激”が減少し、老化のスピードが加速されることを裏付けている。


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