2016年06月17日号

「理想」の大切さ


 ウルグアイのホセ・ムヒカ前大統領(1935年生まれ、81歳)が4月5日に来日し、大きな話題を集めた。ムヒカさんは2015年2月まで大統領をつとめ、給与の大部分を慈善事業に寄付して月1000ドル強(約10万円)で生活するその質素な暮らしから「世界で最も貧しい大統領」としても知られ、エル・ペペの愛称で世界中の人に親しまれている。2012年、ブラジルのリオデジャネイロで開催された環境と持続可能な開発に関する国際会議・リオ会議(リオ+20)では、大量生産・大量消費による経済の拡大を目指す国際社会のあり方を批判する演説を行って話題を集め、ノーベル平和賞の候補にもなった。


 演説のごく一部を紹介すると――「ドイツ人が一世帯で持つ車と同じ数の車をインド人が持てばこの惑星はどうなるのでしょうか。息するための酸素がどれくらい残るのでしょうか。(中略)西洋の富裕社会が持つ同じ傲慢な消費を世界の70億~80億人の人ができるほどの原料がこの地球にあるのでしょうか?」「ハイパー消費が世界を壊しているのにも関わらず、高価な商品やライフスタイルのために人生を放り出しているのです。消費が社会のモーターの世界では私たちは消費をひたすら早く多くしなくてはなりません。消費が止まれば経済が麻痺し、経済が麻痺すれば不況のお化けがみんなの前に現れるのです。(中略)人がもっと働くため、もっと売るために『使い捨ての社会』を続けなければならないのです。悪循環の中にいるのにお気づきでしょうか。これはまぎれも無く政治問題ですし、この問題を別の解決の道に私たち首脳は世界を導かなければなりません」(演説を日本語訳した打村明さんのホームページから)――。


 ムヒカさんはこの演説でこういうことも言っている――「貧乏なひととは、少ししかものを持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ」「私たちは発展するために生まれてきているわけではありません。幸せになるためにこの地球にやってきたのです」(同)――。


 大人には、こういう話をともすれば「理想論」のひと言で片付けてしまう風潮がある。でも、「理想」があるからそれに向かって努力する、いわば目指す目的地なのだから一番の土台になるものだ。7月の参議院選から選挙権年齢が18歳以上に引き下げられる。「理想」というものの大切さを、どうか忘れないでほしい。


のだめ CD

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