2016年10月21日号

晩秋の情景


 虫の声もとうに消えて、あたりは静まり返っている。10月14日の夜半、もうすぐ満月になる小望月(こもちづき=陰暦14日の月)が南の空にかかって澄み切った晩秋の夜空を照らし、星々もさえざえときらめいている。…と、夜空からにわかに、クウォ、クウォという鳥の鳴き声がけたたましく湧いて降ってきた。ちょっと驚いて、空を見上げた。きっと白鳥だ。冬が近づくとこの付近の田園や湿地には多くの白鳥が飛来するから、けっこうなじみが深い。月影に飛ぶ白鳥がシルエットとなって映し出されたらどんなに素敵だろうと思ったけれども、そうはうまくいくはずもない。月の光を浴びて夜空に鳴き渡る白鳥の姿はとうとう見えないままに、けたたましい鳴き声だけが、南の空へみるみる遠ざかって行った…。


 秋が深まるとともに、日の高さも低くなって、晩秋の透明な日差しはまっすぐ斜めに降り注ぐ。青春(せいしゅん)・朱夏(しゅか)・白秋(はくしゅう)・玄冬(げんとう)――という季節の呼び方がある。五行説という考え方にもとづく呼び方なのだそうだが、古く中国から伝わっていて、春は青色、夏は赤色(朱)、秋は白色、冬は黒色(「玄」は黒のこと)――という風に、季節をそれぞれの特徴から色分けしたものだ。それで若い頃を「青春」といったりするし、北原白秋と言う詩人がいたりするのだが、確かに、すがすがしく澄み切った秋の日差しを受けた風景は、白く柔らかく輝く感じがして、「白秋」という呼び方もぴったりくる。


 10月に入ってからのこの頃は、小雨がぱらついたと思ったら、日が照ったり、ずいぶん変わりやすい天気が続いている。日が照っているのに降る雨を「天気雨」とか「狐の嫁入り」などと言っていたけど、通り過ぎた雨雲のあたりに日の光が当たって、大きな虹が立つ風景にも時々巡り会って、不思議なことに、そのたびごとに子供の頃のようにちょっと心がときめくのが、何だかうれしかった。虹の彼方にはいつも夢があって、希望がわいてくる…なぜか心が晴れ晴れとしてきてしまう、虹にはそんな力がある。そんな気持ちがまだ残っていた。


 10月23日は季節の巡りをあらわす二十四節気の「霜降(そうこう)」。霜が降りる頃を言う秋の最後の節気。イチョウも色づいて、秋の日差しに街が金色に輝く季節が始まる。気の早い雪虫もそこここに飛び始めた…。


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