2017年01月13日号

思いやりも責任感も…


 安倍晋三首相の発言をテレビで聞いて、驚き、そして憤りを通り越して何だか悲しくなってしまった。新聞には後にこう報道されている――「基礎年金で(生活を)すべて賄うわけにはいかない。それまでに貯蓄、資産の形成をお願いしたい」。11月25日の衆院厚労委員会。(中略)安倍首相は淡々と答えた。(2016年12月14日付け毎日新聞)――同紙によると、今の国民年金(老齢基礎年金)の満額の場合は月約6万5000円だが、実際の受給者の平均額は月5万円強だという…。


 安倍さん、アンタに言われなくとも、誰もこの年金額だけで暮らせると思ってなんかいない。だけど、これで暮らすしかない人が何と多いことか…。食費を削り、電気代や燃料代を節約し、着るものどころか病院代や介護サービスすらも我慢してやりくりし、日々をぎりぎり過ごしている人が何と多いことか…。言うに事欠いて、「貯蓄、資産の形成をお願いしたい」だと?どこからどうやって貯蓄して資産を“形成”できるのだ。


 賃金の下落に合わせて年金支給額を引き下げるなど、年金給付水準の長期的な引き下げにつながる新ルールを盛り込み、「年金カット法案」と揶揄(やゆ)された年金制度改革の法律は12月に強行採決された。5年後に施行されるという。労働の非正規化がみるみる進んで、働いても貧しく不安定な生活を強いられる人たちが急増した。税金が上げられる一方で、医療・介護・年金・教育をはじめとした社会保障は年ごとに弱体化されてゆく…。そんな状況に国民を追い込んでおきながら、「資産を作れ」とは、何事か。作れるものならとっくに作っている。責任放棄もはなはだしい。


 麻生太郎副総理兼財務相が、参院選の応援に訪れた小樽市での講演で「90歳になって老後が心配とか、わけの分かんないこと言っている人がこないだテレビに出てた。オイいつまで生きてるつもりだよと思いながら見てました」と発言したのを思い出す。麻生さんのように健康で裕福な年寄りはごく少数だろう。大多数の高齢者にとって、こんな状況では明日の“老後”が心配なのは当たり前で、不安だからたとえお金があっても使えない。そういう世の中にした自分たちの責任を棚に上げた、これもずい分と無責任で乱暴なものの言い方だ。


 国民の生活を思いやろうともしないこんな人たちが総理大臣だったり副総理なのかと思ったら、今さらながらにむなしく、悲しくなってしまった…。


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