2017年03月10日号

嘘つきは…


 叱られたくない一心でごまかしの“うそ”をつく…「ウソついたら、地獄の閻魔(えんま)さまに舌抜かれるぞ」。小さい頃、大人たちによくいわれた。


 焦熱地獄に釜茹(ゆ)で地獄、無間(むげん)地獄に針の山…地獄に落ちた者を果てなくさいなむ牛頭(ごず)馬頭(めず)の鬼ども。その親玉が閻魔大王という地獄の神様だ…なんて、そんな話を聞かされるものだから、子供心の恐怖心から「ウソをつくのはいけないこと」という思いが心の底に焼き付いたのかもしれない。ただ、地獄の話を聞いているからなのか、それとも持って生まれた良心の呵責(かしゃく)とでもいうのだろうか、どちらが先かはわからないけど、幼心にも嘘をつく時には何だか悪いことをしている、心がチクリとする感覚があった。いずれにしても、気持ちのいいものではないことは確かだ。


 「ウソも方便」などという都合よく使われがちな言葉もあって、人の世に嘘は付きものなんだろうけれど、「嘘をつく」の“つく”は「吐く」と書く。口から(良くないものを)吐(は)き出す漢字だ。基本的に「嘘」は悪いものだという共通認識で、それがないと、人と人との信頼関係は成り立たず、世の中は荒廃してしまう。


 イギリスのオックスフォード英語辞書が、2016世界の今年の単語として「ポスト真実」(post―truth)という言葉を選んだという。この単語は、客観的な事実よりも、事実にもとづかなくても感情的な訴えかけの方が世の中に大きく影響する状況を示す言葉だという。早い話が、嘘・偽(いつわ)りが平気で飛び交う―それが社会や特に政治の動きを左右する現在の流れを表しているということらしい。イギリスのEU離脱の国民投票は、離脱派の政治家を中心に仕掛けられた嘘の情報の影響で決まり、離脱が決まってから政治家がウソを認め大問題になった。アメリカのトランプ大統領は言わずもがな。そして、日本の…。どうして世界中でこうも似た人たちが人の上に立つ結果になって、同じような政治状況になるのか、あっけにとられる日々が続いている。


 平気でその場しのぎの嘘をつき、それがまかり通ってしまう世の中とは何なんだろう。「嘘つき」は、ずるく、いやしく、勇気のない“卑怯者”とさげすまれた。「うそつきは泥棒の始まり」と教わった。今、嘘つきを許す大人たちは、子供たちになんて教えるんだろう…。


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