2017年10月13日号

黄斑に孔があくわけ


 黄斑部(おうはんぶ)には視力低下を起こす眼病は多数ありますが、今回は黄斑に孔(あな)が開く特発性黄斑円孔についての話です。


 黄斑は眼底の中心部にある直径がおよそ1・5mmの円形で黄色(日本人は褐色を呈する)の漏斗状に陥凹した網膜を指します。そのまん中の一番凹んだ所を中心窩と言います。この中心窩は周辺の網膜に比べ「視機能」が極めて高い場所です。たとえば中心窩の視力は通常1・0以上ありますが、それ以外の周辺網膜ではせいぜい0・1前後です。


 黄斑の構造的特徴は、第一に網膜の厚さが周辺網膜に比べ薄いことです。ちなみに中心窩の網膜厚は周辺網膜の2分の1程度しかありません。これは良好な視力を得るために眼球に入った光を効率よく捕える、理にかなった構造といえます。一方他の網膜より薄いため孔が開きやすい弱点にもなります。第二は黄斑と硝子体との関係です。硝子体は黄斑を含めた眼球の内側全体を被う網膜の内側に接しています。しかし中心窩にある硝子体は特別で中心窩に強く接着しています。このように中心窩の網膜が薄いことと硝子体の強い接着が、黄斑円孔の発生に強く関わっています。


 では黄斑円孔はどうして出来るのでしょう。硝子体は加齢に伴い生理的収縮を起こし黄斑から剥離していきます(後部硝子体剥離)。この際強く接着した硝子体が中心窩から剥がれず、中心窩を眼球中心方向に牽引するのが黄斑円孔の始まりです。持続的牽引により中心窩網膜に楕円形の隙間(嚢胞)が形成され(未完成円孔)、更に進行すると中心窩が引きちぎられ円孔が生じます(完成円孔)。これが特発性黄斑円孔です。50~70歳に好発し、発症すると視力低下、歪み、中心暗点などを自覚します。光干渉断層計(OCT)で調べると、硝子体が中心窩を牽引している状態を詳細に観察出来ます。治療として完成円孔には閉鎖術、未完成円孔には予防手術が有効です。


 黄斑円孔にはこのほか近視性黄斑円孔、外傷性黄斑円孔などもあります。


 医療法人社団 はやし眼科 林 一彦 院長
 江別市大麻中町2―17メディカルビルおおあさ3F【TEL】388―1220。


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