2018年02月16日号

アイヌ遺骨


 想像してみて欲しい。自分の家の墓が掘り返され、持ち去られた祖父母や先祖たちの遺骨が、“研究者”の手で、いじくり回される場面を…。“研究資料”として段ボールに詰め込まれて放置されたり、冷たいコンクリートの部屋に“保管”されている様子を…


 アイヌ民族のNGO(非政府組織)コタンの会(清水裕二代表)ほかが、北海道大学から遺骨を取り戻し、再埋葬するまでを追ったドキュメンタリー「八十五年ぶりの帰還―アイヌ遺骨 杵臼(きねうす)コタンへ―」を制作した。ドキュメンタリーはこう始まる。――北海道大学は1930年代、浦河町杵臼の墓地から、形質人類学の研究目的で、アイヌの遺骨を持ち去った――


 2011年12月、当事者の小川隆吉さんと城野口ユリさんは、北大の総長に手紙を送り、遺骨と副葬品の返還と謝罪を求めたが、返答はなく、翌2012年1月、通知の上で訪問しても中にも入れてくれない。城野口さんは「先祖の墓を北海道大学に掘られて骨を持って行かれた。(私が)死んだらおじいさん、おばあさんに責められ、死にきれない。元に戻してくれ…」という母親の遺言を伝えたかったと訴えるが、大学側は「ご意見は承りました」とだけ答え、門前払いに等しい対応に終始する。このため、小川さん、城野口さんらは祖先の遺骨返還を求め札幌地裁に提訴。2016年、遺骨12体と副葬品を返還する和解が成立する(城野口ユリさんは前年に帰らぬ人となっていた)


 2016年7月、北海道大学から引き渡された遺骨は85年ぶりに故郷・浦河へと帰る…。遺骨の返還に際して、自身の先祖の遺骨も墓地からアメリカの大学などに持ち去られた、アラスカ先住民・クリンギットの神話の語り部ボブ・サムさんが「(持ち去られた遺骨は)インディアンでもアラスカ・ネイティブでもありません。人間なのです。この人たちを私のところへ返してください。私たちは人間として、死を尊厳を持って扱う権利を持っているはずです」と訴えた…


 ドキュメンタリーは最後にこう結ぶ。――まだ、国内外の大学・研究機関に、約1600体のアイヌ遺骨が置かれたままになっている――。どうか、想像してみて欲しい…(このドキュメンタリーの上映会が2月17日〈土〉午後2時~4時、江別市2条2丁目の小劇場「どもⅣ」で開催。入場1000円。コタンの会・清水裕二代表の話や朗読会も※6面に詳細)。


キッズ・ベビー・マタニティ

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