2018年03月16日号

春…ふるさとの野山は


 雪や雨まじりの強風が吹き荒れた春の嵐が去って、3月も半ば。降る雪もほわっとした淡雪、綿雪、牡丹(ぼたん)雪…。時にうららかに晴れ上がった空を見上げれば、日差しは日に日に強くなって、水色の春の空、ほんわか春の雲…。そろそろ人々は外に出て、とけ出した雪の始末に取りかかっている。氷を割ったり、雪解け水を流す水路を作ったり…。この季節の風物詩の、そんな街の喧騒(けんそう)に何だかほっとする気持ちになる…


 3月18日は春の彼岸入り。21日は彼岸の中日で「春分の日」。24日彼岸明け。「春分の日」は昼の長さと夜の長さが同じ長さになる日。これからは、太陽の高度が1年でもっとも高くなって昼が一番長くなる夏至(今年は6月21日)に向かって、日脚(ひあし)が伸びていく。


 ふるさとの秋田の山奥では、みず木の赤い枝に、小さな団子を花のようにたわわにさして、祖母がこしらえた、粒あんをくるんだ大きな団子のお供えも持って墓参りするのが習わしだったから、春彼岸の頃になると、ざらめ(粗目)雪になった残雪の上を、かんじきを履いて「団子さしば」(みず木のこと)を採りに行くのが、子供たちの仕事だった。レンギョウのような花姿のマンサクの薄黄色の花が、芽吹きの前の山に控えめにまばらに咲いている。深緑のつややかな葉と赤い実を付けたアオキバ(青木葉)が雪の中に鮮やかだ。山は静かに、だが、まるで神の意志そのものの強さを持って、確実に生命を生み出し、春を育んでいる…。独りで山に入った時は、子供心に心が引き締まる感じがした…。


 2011年3月11日の東日本大震災、その津波による福島の原発事故から7年。周辺の山々には同じような春の風景が巡ってくるに違いない。しかし、いつもと変わらないように見えるのに、野が山が村が町が…まるで魔法の粉をかけられたように、一夜の内に猛毒の世界に変わってしまった。山と共に暮らせない恐ろしさ…無念さ…。その一方で、“利権”にむらがる人間どもは、いまだに人を欺いて強欲の血をすすり蠢(うごめ)いて恥を知らない。


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