2018年03月30日号

なごり雪


 雪解けの頃になると、降る雪…わた雪、ぼたん雪。わた雪(綿雪)は「もめん綿をちぎったような大片(おおびら)の雪。ぼたん雪より少し小さいものをいう」(日本国語大辞典)のだそうで、ぼたん(牡丹)雪は「大きな雪片(せっぺん)が牡丹の花びらのように降る雪。ぼたゆき」(広辞苑)と説明されている。子供の頃は「ぼたん雪」なんて上品な言い方ではなく、もっぱら「ボタ雪」と呼んでいた。大きな雪が時にボタボタ落ちて来るからボタユキだと思っていた。花の牡丹の「牡丹餅」なんて思いもよらず、ゴロンとボタッとそこにあるから「ボタモチ」なんだろうと思っていたのとそう変わりはない。


 すぐにでもとけてしまう、そんな雪を「あわゆき」ともいう。ところが、辞典を見ると、あわゆきにも「(春に降る)やわらかで消えやすい雪」(広辞苑)をいう春限定の「淡雪」と、時期を問わず「泡のように溶けやすいやわらかな雪」(日本国語大辞典)全般をいう「泡雪」(沫雪とも)との2つの言い方に分けられていて、なかなか繊細だ。


 「なごり雪」という歌が好きで、いろいろ調べていたら、「雪の果て」という言い方に出会った。「冬の最後に降る雪」などと説明され、俳句の歳時記には…名残(なごり)の雪…別れ雪…忘れ雪…涅槃雪(涅槃会〈ねはんえ〉の頃に降る雪)…などという言葉も出ている。“最後の春の雪”をいう言葉だけでこんなに多くの表現がある。昔の人は本当に詩人だなあと思ってしまう。


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