2018年05月18日号

新緑の季節


 遠くに青く霞(かすみ)がかかった山並みが連なっている。麗(うら)らかに晴れ上がった空には、そよ風と睦(むつ)み合うように白い雲が浮いている。タンポポの花が野原一面に咲いて、濃い緑に明るい黄色の鮮やかなコントラストがまぶしい。二十四節気では「立夏」(5月5日)を過ぎて、「小満」(しょうまん/5月21日)…陽気が強まり、山野の草木は枝葉を伸ばして盛んに茂り、成長の勢いが天地に満ちてくる季節…を迎える。暦の上ではもう初夏だけど、北国は、まだまだ次から次へと新しい命が生まれ出る爽(さわ)やかな新緑の季節。春いっぱい。花いっぱい…。


 車を下りたら、足もとに桜の花びらがひとひら舞い落ちてきた。ソメイヨシノだろうか、白い花びらに、ほんのりピンクの紅がにじんでいる。そっと拾い上げて手の平にのせる。ふと思い出したのは、子供の頃、裏山の桜の木の下で春風とともに体いっぱいに浴びた花吹雪と、小川の流れに浮いて帯のようにたゆたう桜の花びらの情景だった。桜の花は、萎(しお)れもせず枯れもしないで、美しいままで散ってゆく…日本の人々が桜の花に寄せる特別の思いは、そんな花の姿に感じる心があるためだろうと何かの本で読んだことがある。


 もう中年になってからだったが、ふるさとの一番高い山から、手を広げて故郷の空を飛び回った爽快な夢を見たことがある。いろいろあって、きっと故郷の空気が吸いたくなったのだろう。“総天然色”の本当に鮮烈でリアルな夢だったから、夢から覚めても何日間は「空を飛べるんだ」と当たり前のように思えたほどだった。飛んだ時の空から見た田舎の山々と村の風景と、そのうれしさは今でも鮮明に思い出せる。そう、春のちょうど今頃の風景だったと思う。


 春見る夢は、ちょっと艶っぽく儚(はかな)いといわれる。そういえば「人の夢」と書いて「儚い」と読むんだぁ…。心地良い、いい季節。空を飛ぶ夢をもう一度見たいと願っている…春の夢。


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