2018年09月21日号

十五夜とススキ


 「月に供える芒(すすき)は、およそ花という概念には程遠いイネ科の花であるが、この芒を月に取り合わせた古人の美意識には敬服する」と、北海道・東北ふるさと大歳時記(角川書店)の「名月」の解説を執筆した志和正巳さんという人が感心していた。同じ解説で志和さんは「名月は鑪山(たたらやま)から出るといふ」という、高浜虚子の甥で俳人の池内たけしが、盛岡を訪れた折りに詠んだ句を紹介している…。


 土地土地で十五夜の月が出る方角があった。人々はそちらに向けて、団子や芋、トウキビや枝豆、栗や山ぶどうなど秋の恵みを供えた。散歩人の故郷の秋田では、ススキとともに、女郎花(おみなえし)なども一緒に供えて、手を合わせた。この時期、山にはもう花らしい花の数は少ない。とはいえ、稲穂を思わせるイネ科のススキを供えた感性に違和感はない。月の光に銀色に光りたなびくススキのあやしさ、美しさ…その情景を感じる心が、原風景となって多くの人にあるのかも知れない。


 秋の彼岸は、9月20日(木)彼岸入り→23日(日)彼岸中日「秋分の日」→26日(水)彼岸明け――。旧暦では7月が初秋で、8月は仲秋、9月は晩秋。「仲秋(中秋)の名月」(旧暦で仲秋は8月の異称、中秋は8月15日のこととか)…十五夜(旧暦8月15日)は今年は9月24日(月)になる。もし月がなくとも、せめて空を仰いで手を合わせようと思う。


ビクター コンポ

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