2018年11月02日号

白鳥、雪虫…もうすぐ立冬


 仕事帰り、夜更けてようやく玄関先にたどり着いたら、突然「クワックワッ」という甲高い鳴き声が降ってきた。白鳥だ。驚いて夜空を見上げたけれど、飛ぶ姿はもちろん見えない。ただ、暗い夜空を鳴き声だけが南の方角に遠ざかって行くのを感じていた。


 晩秋の北海道の空には、渡り鳥が高く整然と飛んでゆく、しみじみとしたおもむきのある風景が広がる。刈り入れ後の田園に降り立って、落ち穂をついばむ姿も郊外では珍しくない。晩秋の風物詩の一つだ。それにしても、人間があたふた動き回るこの街々を、はるか下に見渡しながら大空を飛ぶ渡り鳥たちの爽快(そうかい)さが、ちょっとうらやましい気がする…。


 事務所の隣りの家の庭にあるイチイの木が、今年も真っ赤な実をつけている。ちょっと懐かしくなって、塀越しに2粒3粒いただいて口の中に放り込んだ。少し毒があるという種はペッと飛ばす。いつもと変わらぬ果肉の甘い味が口に広がる…。イチイの木は、北海道や北東北ではオンコと呼ばれる常緑針葉樹で、別名はアララギ。アイヌからはクネニと呼ばれ、弓などに使われたと樹木の解説書にはある。故郷の秋田では食べた記憶がないが、北海道に来て初めて食べて甘い“オンコの実”を知ったのだが、これも秋が深まる頃の風物詩の一つだった。


 10月下旬に入って、雪虫が飛び始めた話が増えてきた。多くは冬を前にトドマツからヤチダモなどへと移動する雪虫(トドノネオオワタムシ)は、衣服や髪の毛についたのを、パタパタと払い落としたりするほどに大量に飛ぶものだから、ちょっと迷惑がられたりもするけれど、それでもフワフワと優しげに舞い飛ぶ様子は「雪の妖精」とも呼ばれて親しまれている。雪虫が飛んでから1週間~10日で初雪が降る…と、初雪の前触れとしてよく言われるが、ある民間気象会社が雪虫発生から初雪までの期間を調ベてみたら、道内8都市平均約21日だったとか…。


 もうすぐ11月7日「立冬」を迎える。


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