2018年11月09日号

自然との距離


 「お母さんの話だば、まるで童話の世界だ」と、秋田の長兄が義姉のことを電話口で言った。山の田んぼの草刈りをしているそのすぐ近くで、熊(の子)が蟻塚でも掘っているのか、逃げもしないで一緒にいるのだという。こちらも特別騒いだりはしない。そのうちいなくなる…。「中くらいに育った感じの熊コだったども、この時は母熊がいなかったからね。近くにいたかも知れないけれども…。騒がねば大丈夫」。去年の秋は、やはりこの近くで親子だろう2頭の熊が行くのを見かけた…。


 熊の通り道があるのだと兄は言う。「今年はオレは見かけなかったどもな。ドングリだのの生(な)りがいいのか、田にも悪さしてねし…」。ただ「(近くの村の)田代の方で、田さ熊コ入って寝転んで稲つぶしていだもんだから、鉄砲で撃って肉分けた話はあった」。かわいそうに田んぼでゴロゴロしたのが見つかってしまった。いずれにしても、この秋、故郷では熊(本州はツキノワグマ)が田畑を荒らす話は去年より聞かない。義姉は「タヌキが賢(さか)しして、稲っコ歯でこそぎ取って食て困る」とぼやいていたが…。


 11月に入って間もなくの朝、赤トンボが一匹、玄関の手すりに止まった。日差しを浴びて羽がきらめいている。ああ、何と久しぶりに見る光景だろう、と胸が熱くなる思いがした。いつの間にか…トンボもいなくなってしまった。自然との距離が遠くなってしまった。


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