2018年11月30日号

答えがない難しさ


 石狩川に近い江別の市街地の一角に、書店を中心に飲食店や玩具、アウトドア雑貨などで構成する新しいスタイルの大型複合店「江別蔦屋書店」ができた。その話題が社内で出た時、「ツタヤの“ツタ”って漢字、むずかしく見えるけど、よく見たら草かんむりに“鳥”なんだね」とあるスタッフ。「草のツタに鳥がいると覚えれば簡単だ」という話になった。調べてみたら、“鳥”という漢字は、尾っぽが下がっている鳥の姿を文字にした象形文字。ツタの葉が鳥の尾のように下がっている形から、草を表す草かんむり“艹”に鳥の象形文字を組み合わせて「蔦」になったと辞典には出ていた。なるほど「草のツタに鳥が…」とイメージして覚えれば忘れにくい…。


 物覚えが悪いせいで、小・中学校で漢字を覚えるのに苦労した。ところが、社会に出てから、すし屋で出される魚偏(うおへん)の文字がずらりと並んだあの湯飲み茶碗を眺めながらだったが…。草植物のことなら草かんむり、樹木にまつわる文字には木偏(きへん)、水に関係があれば、流れる水を表した“氵”(さんずい)というように、部首の意味ごとにグループ分けすれば覚えやすいのに、などと遅ればせながら思った。少なくても散歩人が通った昔の学校では、そんな風にわかりやすく教えてくれなかったのだ…。


 ところで「答え」が決まっているのならまだいいけれど…と、考えさせられる新聞のコラムがあった。――小学校道徳教科書の「星野君の二塁打」。野球で犠牲バントの指示に反して強打し勝利をもたらした星野君が、監督にルール破りの誤りを鋭く指摘され、深く反省する。=中略=原作は戦後間もない47年に少年雑誌に掲載された物語だ。新しい時代を迎え、民主的な社会を支えるのに欠かせない協力、勝手はしないルールの大切さを説いたと読める。しかし教科としての「道徳」向けの教材(読み物)とされると、しかつめらしくなる。皆で決めた集団(チーム)内の約束がいかに大事か。星野君を出場禁止にして諭した監督の論理は隙(すき)のない正論であり「正義」なのだろう。でも教室の議論で子供が「大目に見たらいい」と言ったら、それは異端で正されるべき「不道徳」なのか=後略=(毎日新聞11月20日「火論」より)。


 野球やサッカーなどチームプレーが重要なスポーツでは、よくある場面。きっと言葉では言い表せない世界だ。「道徳」という教科には、決まった答えがない、こんな難しさがつきまとう…。


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