減る犯罪、広がる“心の闇”

5月28日朝、51歳の中年の男が、スクールバスを待っていた小学生の列に、刺身包丁を振り回して襲いかかり殺傷して自らも命を絶つという悲惨な事件が起こった。その直後、6月1日には練馬区で76歳の実の父親が、家庭内暴力に悩んだ末、44歳の無職の息子を刺殺するというやり切れない事件があった。運動会の音がうるさい「ぶっ殺す!」といきまく息子に川崎の事件が頭に浮かび、手にかけたという▼6月5日、札幌では、2歳の女の子が衰弱死し、21歳の母親と24歳の交際相手の男が逮捕された。死亡した女児の体重は平均の半分ほどしかなく、複数のあざがあったという。“虐待”事件も毎年のようにこれでもかと続く…▼実は、犯罪の発生件数自体はこの16年間、年を追って大幅に減少している。刑法犯罪の認知件数は、近年で一番多かった2002(平成14)年に比べ、昨年2018年は全国も道内もその3割以下。厚別署や江別署管内では約4分の1に減っている。ところが「犯罪が減っている実感がしない」という声が少なくない。数字上は“安心・安全”なはずなのに、むしろ以前より不安感が身近に迫っている不気味さがあるという▼幼い子供など「弱い者」を犠牲にする卑劣な犯罪が繰り返される。個と個が断裂しバラバラになる中で、「心の闇」ばかりが広がっているような気がする…。