声嗄(こえが)れ/くろだ耳鼻咽喉科クリニック 黒田 努 院長

声嗄(こえが)れ

くろだ耳鼻咽喉科クリニック 黒田 努 院長

 声や音は空気の振動ですが、振動を作り出すのはのどの声帯です。左右1対の声帯が一秒間に数百回、肺から空気を出されるときに振動する事で基本的な音を作ります。この時に声帯がきれいに動かなければ、声が嗄れることがあります。
 一番多いのは風邪の時ですが、ウィルスがのどに炎症を起こして声帯が充血し、腫れた時に、または痰が絡むことで声嗄れが起こります。風邪が治ると共に改善しますので、無理に声を使用しないようにして様子をみます。
 職業的に声を多く使用する人、学校の先生、保育士に多いのが声帯にできる結節です。1㎜前後の小さい豆粒のような突起が両側の声帯の同じ場所に出来ます。声帯が振動する時にぶつかって隙間が出来るため空気が抜けてカサカサした声になります。声帯ポリープも同様ですが、片側に結節よりやや大きいものができることが多いように思われます。タバコを吸う方では声帯全体がポリープ状になることもあります。
 希ではありますが声帯を動かす神経の異常により声帯麻痺を起こすことがあります。脳梗塞、肺癌、甲状腺癌など色々な病気が原因になりますが、原因不明であることが多いです。ある日に突然発症し、時に飲み込みが悪くなる事もあります。空気が大きく抜けるようなヒュウヒュウした声になります。
 喉頭癌を心配される方が多いですが頻度的にはそれほど多くありません。声帯に腫瘍が及んでくると徐々に悪化します。声の性質としてはザラザラ、ガラガラした粗雑な音になると特徴的ですが、癌による神経麻痺で起こったときは声帯麻痺と同様になります。
 いずれも喉頭を内視鏡で観察することで診断は比較的容易です。検査でも異常が見当たらない場合は加齢によるしわがれも考えます。皮膚と同様に声帯も年齢と共にしなやかさが失われ、痩せて細くなることがあります。
 くろだ耳鼻咽喉科クリニック/江別市大麻中町2―1
電話387―8000。