診察室から 耳閉感(つまり感、ふさがり感) くろだ耳鼻咽喉科クリニック 黒田努院長

 耳のつまり感のことですが、様々な原因が考えられます。
 実際に詰まっている場合は耳垢、水泳、シャワーなどで水が入った、子供で耳の中にBB弾、粘土、ティッシュなどを詰めた場合が考えられます。中耳炎、外耳道炎からの耳漏が詰まっていることもあります。除去することで速やかに改善します。
 実際には詰まっていない場合で耳に原因がある場合。軽度の難聴によるもの、特に低音部の難聴では聞こえにくいというより、つまり感だけが現れることがあります。また滲出性中耳炎では鼓膜の中で空気が薄くなって鼓膜が陥凹し、時には液が貯まることがありいずれの場合も耳閉感を伴います。同様の理由で山に登る、エレベーターでの昇降下降、飛行機、潜水など体内と体外での気圧差が生じた時にも鼓膜が膨らんだり凹んだりすることで耳閉感が起こります。
軽度であれば鼻の奥の通気口である耳管からの空気の出入りで調節されて自然に解消しますが、かぜや鼻炎による耳管機能の低下があると調節されず中耳炎を発症することがあります。
 耳管は嚥下のようなのどの動作で開いたり閉じたりしますが、小児や老人ではうまく開かず、慢性的な耳閉感を感じている方がいます。またその逆で常に耳管が開いている場合もあり、この場合は症状として周囲の音は普通に聞こえるのに、自分の声や呼吸の音が響く、大きく聞こえるようになります。のどから出た声が耳管を通して直接耳に入る事が原因ですが、加齢によって、または大きな病気のあとに急に体重が減少したなど、耳管周囲の脂肪や体積が減少して閉じにくくなった場合に起こることがあります。頭の位置を低くすると症状が改善することが特徴です。
 耳鳴り、めまい、ふらつきなどを伴う場合は難聴由来の可能性が高いため、早期の受診が必要です。
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