戦後75年永久保存版DVD制作費を募る 全道高校無償配布に協力を シベリア抑留体験を語る会札幌

 シベリア抑留体験を語る会札幌(建部奈津子会長)が、シベリア抑留体験者の証言を収録した「戦後75年 シベリア抑留証言永久保存版DVD」の制作を進めている。シベリア抑留体験者の意思を継ぎ、命と平和の尊さをこれからの世代に語り継ぎ継承するためのDVDで、完成後は道内全ての高校に無償配布を予定。会はボランティア団体で、多額の費用捻出は難しいことから、幅広く市民に制作費への協力を求めている。
 会は戦後70年の節目(2015年)に戦争体験、シベリア抑留体験者の言葉を「記憶の継承」のために1人でも多くの人々に聞いてもらいたいと発足。第二次世界大戦後、旧ソ連シベリアに抑留された人々を語り部に講演会などを開催してきた。建部会長は、厚別のサンピアザにスタジオがあるRADIOワンダーストレージFMドラマシティ(77・6MHz)で、毎月第2・4水曜日午後3時~3時56分に放送中の「シベリア物語」でパーソナリティーを務めており、語り部たちの声などを電波でも届けている。
 しかし、戦後75年を迎えて、語り部の中にはすでに他界してしまった人たちもいるほか、90歳代と高齢になった人も多い。このため、このままでは語り部たちの声が風化して闇に葬りさられてしまう―という懸念、語り部たちの「高校生ら若い世代に見て、聞いてほしい」の思いを受けてDVD制作に着手した。
 DVDは、現在活動可能な7人の語り部の証言を再取材し、60分程度に編集する。年内をめどに約500枚を制作し、来春までに道内の高校や制作に協力してくれた人、関係者らに無料配布する計画。寄付者で希望する人の名前は、映像のエンドロールに掲載する。
 寄付は1口3000円から。最低50万円としていた目標額には到達したが、制作枚数が当初予定より増加したことや寄付者にはDVDを無償提供し、広く抑留体験者の証言を伝えられることから、引き続き寄付協力を呼びかけている。
 建部会長によると、直接口座に振り込んでくれた場合、通帳にはカタカナで名前しか印字されない。結果、住所などが分からず、完成DVDの送付ができないなどの問題もあることから、寄付に当たっては「一報を」と促す。振り込み先は「北洋銀行新発寒支店(普)3418266 シベリア抑留体験を語る会札幌」。
 問/同会・建部会長【TEL】090―4871―9789(ショートメール可)