ご神水、地域とのつながりに 江別神社 災害時には住民へ水供給も 水質高く、飲食店での利用や地酒の仕込み水に

 江別神社の境内には、昭和20年代から地下水を汲み上げる井戸があり、その水は地域の生活用水として広く利用されていた。浅堀りの井戸水は、現在の水道水の水質基準にはほど遠く、鉄分の多い赤茶けた水だったが、当時は「命の水」と呼ばれ、地域の人々の生活を支える大切な存在だった。その後、水道網の整備にともない、井戸の利用は減り、昭和30年代前半でその役目を終えた。
 ご神水復活のきっかけとなったのは、2年前の北海道胆振東部地震。宮司自身も子どものころ、江別神社の水を家で使っていた経験から、災害時にも地域住民に水を供給することができる、かつての井戸を復活させようと思い立った。
 飲料水の水脈を掘り当てるのは、さく井工事の中でも難しいとされるが、宮司の強い信念と、その思いに共感した地元の業者や、神輿の会メンバーらの協力もあり、工事は無事成功。51項目の水質検査もクリアして、昨年10月末に飲料水として利用できるご神水が復活した。
 かかった費用は1500万円。「失敗した時には、退職金も辞退して、責任をとって引退するつもりだった」という不退転の決意で臨んだ工事。掘り当てた地下154~169メートルの水脈からは、1日250トンもの清らかなご神水がなみなみと湧き出ている。災害時に停電になっても水を供給できるよう、手汲み式のポンプも設置した。
 ご神水は弱アルカリ性軟水で、角がなく、まろやかな口当たり。寿し店の店主は「この水でご飯を炊くと最高にウマイ」と太鼓判を押す。江別の地酒「瑞穂のしずく」の仕込み水にも採用された。
 内田宮司は「このまちを愛する人々の思いがあって、神様がご神水に導いてくれたのだと思います。今後も神社を心のよりどころとして、身近に感じてほしい」と話している。
 給水できるのは、平日午前9時~午後4時。社務所では、ご神水復活を記念した御朱印(300円)も受け付けている。
 問/江別神社(萩ヶ岡1―1)【TEL】011―382―2201