暦の上では秋風が立ち始める時季で、7月末からはキリギリスなどの虫の音が賑やかなのだが、7月23日に「大暑」入りしてからは、連日「夏日」「真夏日」(夏日は最高気温25度以上/真夏日は同30度以上)の暑さ続きに、ちょっと気の遠くなる思いがして、食欲も少しばかり減退気味…▼このところ、思い出すといったら子供の頃のことなのだが、不思議なことに、夏の日の情景が、ほかの季節と違って特に記憶の中に鮮明に残っている。その昼食時の記憶…冷蔵庫などはないから、冷たい井戸水に味噌をといて、キュウリの薄切りと、シソの葉を刻んで具に浮かべる…これが冷や汁(地方により作り方はいろいろ)。炊飯ジャーなどはない“飯櫃(めしびつ)”=おひつ=の時代で、冷えたご飯は湯漬けが一般的だったと思う。穴がいっぱいあいている専用のおたま杓子(しゃくし)があった。それで、夏は湯のかわりに井戸水を使った湯漬け飯をサラサラとかき込むのだった。おかずは昼はせいぜい漬け物か何かで、食卓にハエ避けのための折りたたみ式の傘のような網(“蚊帳”=かや=ならぬ、“蠅帳”=はえちょう=と言ったそうだ)がかぶせられていたのを思い出す。畑からもいでくるキュウリの種の部分をこそげ取って、そこに味噌をたっぷりぬったのをシャコシャコかじるのも好きだった▼夏草刈りなどについていけば、昼間は湧き水のある木陰で、アルマイトの弁当の飯に湧き水をかけて、味噌をといてかき込む感じだった。おかずはナスの1本漬け。夏の日、その冷たくてうまかったこと…。食後はぐっすりとつかの間の昼寝をする。顔の上には麦わら帽子…。空にトンビがピーヒョロローと輪をかいている…▼ふと思った…。現在の食生活は、その当時、子供心にあこがれ思い描いた王侯貴族以上の豪勢なものではないか。甘い菓子が次から次へ目の前に並び、異国の豪華な料理も安く好きに食べられる…。とはいえ、何とも罰当たりなことに、そのぜいたくさに時折り砂をかむような味気なさを感じてしまう。子供の頃あこがれたのとは何かが違う…。夏の炎天下、あの冷や汁と湯(水)漬け飯の単純な味噌の味がよみがえってきた。
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