認知症の方が増えています

 ■認知症とは
 当院のような一般内科でも、認知症の相談を受けることが増えています。
 認知症は、記憶や判断、思考の障害などの症状が出て、日常生活に支障をきたす疾患です。本邦では、アルツハイマー型認知症が最も多く、他にも前頭側頭型認知症、レビー小体型認知症や、血管性認知症などがあります。軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)と呼ばれる病態もあります。
 慢性硬膜下血腫や、肝不全、うつ病など、別の病気でも認知症と似たような症状がみられることがあり、区別が必要です。
 ■認知症の診断
 認知症が疑わしい場合、必要に応じて改定長谷川式簡易知能スケール(HDS―R)などの簡単なテストを行います。HDS―Rは30点満点で、年齢を尋ねたり、記憶力の評価や簡単な計算などの項目があり、おおむね20点以下で認知症を疑います。
 さらに詳しい、CT、MRIや、SPECT、PETという、脳血流や代謝を評価する検査もあり、必要な場合は専門医に紹介します。
 ■認知症の病態と治療
 認知症症状は、記憶などの認知機能の障害と、それに伴うBPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)からなります。BPSDには、興奮、攻撃性や、不安、うつ、幻覚、妄想などがあります。
 認知機能の改善および進行抑制効果のある治療薬があります。アルツハイマー型認知症の場合、コリンエステラーゼ阻害薬や、NMDA受容体拮抗薬の使用が推奨されます。
 BPSDに対しては、薬物療法のみならず、非薬物療法、ケアも重要です。介護保険の申請、デイサービスなどの介護サービスの利用を検討します。
 認知症の予防は困難ですが、軽度認知障害(MCI)の段階で、高血圧などの生活習慣病を治療することにより進行を抑制できたという報告もあります。
 札幌藤島クリニック/厚別北4条4丁目1―8【TEL】801―7707。