局所麻酔で時間短縮患者の負担軽減 道内唯一耳の日帰り手術300件に 桂林耳鼻咽喉科・中耳サージクリニック

 新札幌の商業ビル、DUO2の4階、「桂林耳鼻咽喉科・中耳サージクリニック」(桝谷将偉院長)が道内で唯一、耳の日帰り手術に取り組んでいる。  耳の聞こえの改善を目的とした慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎、外耳道狭窄症、耳小骨奇形などの手術を行う場合、全身麻酔の下、耳の後ろの皮膚を大きく切開して耳の中へと進んでいくのが一般的。通常10日前後の入院が必要となる。また、その結果は、数カ月経たないと分からないため、場合によっては再手術など患者の負担は大きくなる。  同院では、局所麻酔下で内径約6<CODE NUMTYPE=SG NUM=4E9C>以下の「耳鏡」と呼ばれる筒を通して主に耳の中だけで手術を行う。手術中は、患者の意識がはっきりしているため、聞こえ具合を確認しながら最適な手術方法を選択して進めることができ、一度の手術でよりよい聴力が得られることが期待できる。  また手術時間を従来の術式の半分程度に短縮することができ、仕事で忙しい人や、経済的に入院期間を短くしたい人、認知症への影響が懸念される高齢者、他の疾患を持つために全身麻酔を受けられない人など、様々な理由で手術を見送っていた人たちにもメリットとなる。  ただし、局所麻酔での手術は高度な医療技術が必要となるため、耳の日帰り手術を導入している医療機関は全国でも珍しいのが現状。同院では、全道各地や、道外からの患者にも対応し、2017年から3年弱での施術実績は約300件に上る。  7年前にブータンでのボランティア耳科手術に参加した桝谷院長は、中耳炎手術の世界的権威で恩師でもある湯浅涼医師による局所麻酔下の「耳鏡下耳内耳科手術」に立ち会う機会が得られた。その後、湯浅医師の下で研鑽を積み、技術と共に「目の前の患者さんを救うことにあきらめずに全力で立ち向かう医療魂」を教わったという。  桝谷院長は「様々な理由で、手術をあきらめている患者さんに、できるだけ負担なく適切なケアを提供していけるよう、今後も努力を続けたい」と話している。  問/桂林耳鼻咽喉科・中耳サージクリニック【TEL】011―801―4133。