鼻血 くろだ耳鼻咽喉科クリニック  黒田努院長

 鼻血はなぜ出やすいのでしょうか、目血、口血などは聞いたことがありません。
 鼻血の9割以上は左右の鼻の間の壁である鼻中隔、その入り口辺りから出ています。理由はそこに毛細血管が集まっているからです。鼻をほじると丁度爪が当たりやすいため、よく子供の鼻血の原因になります。毛細血管は脆いため繰り返し出血しやすいですが、量は少量で血管の圧も低いためすぐに止まります。10分程度以内のものはほとんどがここからと考えられます。時に30分以上も出ていたと聞きますが、赤黒色の寒天状のものは止血後に鼻の中で血が固まったものなので出血ではありません。
 鼻血の対処法はとりあえずティッシュ、綿などを詰めて鼻の入り口を10分つまみます。
 9割方はこれで止まります。目の間の鼻根部をつまむ人が多いですが、そこは骨があるため鼻の中は圧迫できません。上を向く方が多いですが、鼻から出ない代わりにのどから胃に飲み込んでいます。後で吐き気がするので下を向いて外に全部出しましょう。首の後ろをとんとん叩くのは最近見かけなくなったようですが、意味がありません。
 つまんでも止まらない、または繰り返す場合太い血管から出ているかもしれません。鼻中隔の入り口では太い血管が浮き上がっていたり、こぶ状に膨れていることがあり、電気で焼灼することで止血と再出血の予防が可能です。時に鼻の一番奥の動脈から出血することがありますが、この場合は勢いが強く、ポタッとではなく流れるように出血します。自分で対処するのは難しく、奥まで詰め物をする必要がありますので耳鼻科受診が必要です。
 鼻血の原因が脳からではないかと心配される方がいますが基本的にはありません。頭や顔を強打して鼻と頭の境界部の頭蓋底骨折を起こせばあり得なくはないですが、普通は考えなくてもよいでしょう。
 くろだ耳鼻咽喉科クリニック/江別市大麻中町2―1【TEL】387―8000。