1耳鼻科と癌 くろだ耳鼻咽喉科クリニック 黒田努院長

 耳鼻科に関連する癌は耳、鼻、のどなど、各々ありますが、耳の癌は希ですので、鼻、副鼻腔、舌、咽頭、喉頭などが中心になります。内臓とは違い直接表面を見ることが出来るため、まずは良く観察することが早期発見に重要です。癌の種類では扁平上皮癌が最多ですが、扁平上皮細胞は鼻からのどの粘膜や皮膚を作る細胞ですから、癌は表面に出来ることが多いことになります。
 鼻の奥からのどは内視鏡で詳しく観察する事が出来ますが、副鼻腔は骨に周囲を囲まれているため直接見ることは出来ません。レントゲンやCTなどの画像検査により確認します。
 症状だけでは鑑別は困難で、初期には何も無い、または違和感程度の場合があります。癌は徐々にまたは急速に大きくなるため、基本的には改善せず、痛み、出血、部位が広がるなど悪化傾向があります。
 鼻、副鼻腔であれば、鼻詰まり、膿性鼻汁、悪臭、鼻血、頭痛など、口腔内では、境界がはっきりしないざらざらした口内炎が徐々に大きくなる、痛み、出血など、のどでは、詰まり感、痰、痛み、声がれなどですが、どれも癌に特有ではありません。
 喫煙は種々の発癌率を高めることは周知の通りですが、特に耳鼻科領域では煙に粘膜が直接触れることもあり数倍から数十倍高くなるとの報告があります。同時の飲酒についても同様に高くなると言われています。近年は禁煙キャンペーンが広がり国内の喫煙者は減少傾向にありますが、替わって注目されてきているのが乳頭腫ウイルスによる癌です。女性では子宮頚癌の発癌に関係するため、子宮頚癌ワクチンが登場しましたが、副作用の懸念から日本では任意接種となり現在接種率は停滞しております。一部の国では男性への接種も行われており今後の咽頭癌の発症率が低下することも期待されます。
 くろだ耳鼻咽喉科クリニック/江別市大麻中町2―1【TEL】387―8000。